何を相談すればいいかわからない

「何を相談していいかわからない。何をお願いしていいかわからない」とポロっと言ってくれた福祉従事者さんがいました。

僕がこの講習会をした時に参加してくださっていた方でした。

その講習会終わりに駆け寄ってきていただいて、「実はまさにそういうことで困ってるんです」といって名刺交換をすぐにした方でした。

その後 LINE もいただいて、次のケース会議が参加してください。そこでご助言いただければということで連絡いただいていたのですが、結局それ以降連絡が途絶えていました。

先日改めて挨拶に伺った時に、そのケースの進捗を聞いた際にタイトルの言葉を言われました。

私にとっては、少し予想外の言葉だったのですが、ハッとしました。

私が何ができるか伝っていないかもしれないっていうところが大きいと思います。

やまがたは何ができるの?の質問の回答にもなりますので、今一度解説します。

実際の【協働者の声】は、どこかでまとめようと思います。チラシには掲載していますが、HPも必要ですね。そのうちやります。

何をすべきかは見るまでわからない

結論から言うと。何ができるか?何をすべきかは、現場を見て飼い主と話さないと、少なくとも担当の福祉従事者さんに状況説明をしてもらわないとわからないです。

こんなことをいうと元も子もないのですが…

ある程度の型はあります。

多頭飼育問題なら、いずれ去勢手術が必要になることは多いし、手術の後に環境改善ができて来たら見守りを続ける事は間違いなく必要になってきます。

そのあたりを目指して現場に介入していくのですが、その手前でもっともっと簡単に今すぐできることはある。それがケースバイケースなのです。

目標設定から任せてOK

福祉の仕事もそうだと思いますが、動物問題でも目標を定めて進めます。

目標はやっぱり本人と福祉の担当者さんと一緒に考えていかなきゃいけないですが、その目標に向かって進めていく説得をするのは私の仕事だと思っています。

なので、やることを決めて「これをやってください獣医さん 」って依頼するという形である必要はないです。

福祉事業者さんは何をお願いすべきかを考える必要はないのです。

本人が去勢手術をやる気になってからやってほしいというケースも勿論 OK ですし、すごく助かります。けども、そこまで苦労して去勢手術を説得するのは大変だと思いますので、その段階から私が入るべきだと思っています。

とにかく困ったらちょっと相談してみるくらいで認識して話を振ってください。

この点について改めてお知らせしておきます。

やらない方がいいものもある

極端な話、福祉従事者さんからの依頼の中には、やらない方がいいなと回答することすらあります。申し訳ありませんが、その先のことを見据えているからです。

その点だけは認識してもらえるともっとありがたいです。

その代表例が動物の引き取りですが、これはまた別の記事にまとめてありますのでそちらをご一読願います。

そこまで考えて進める前に、とにかく早めに相談してほしいということです。

依頼内容を決める理由

ここからはひとりごとですが、

よくよく考えてみると相談いただく福祉の関係者さんがやってほしいことを決めてから連絡いただくのは至極当然です。

理由は僕が獣医師だからなのかなという仮説を立てています。

ちょっと仮説的に考えました。

普段の動物病院に行く時って目的を決めてから行きますよね。

今日はワクチンを打ちに来ました。健康診断をお願いします。体調が悪そうなので診察をしてください。去勢の手術の予約を入れてあります。

と。

目的ありきで動物病院に行くと思います。獣医さんに相談すると思います。

なので、この目的があって目的達成のために相談するという流れなので、福祉現場での動物問題もこれを獣医さんにお願いしてほしたいという目的を立ててからお願いしなきゃいけないという固定概念があると思います。

でもうちは実はそうじゃないです。

繰り返しますが、去勢手術をすることが決まっていなくても相談していいんですよ。

「困りました。どうすればいいですか?とりあえず相談します。」

これで十分です。

まずは会話

獣医師ですけども、最初は【飼い主と動物の話題で盛り上がれる話相手】として同行させてもらえるのが理想です。

獣医さんと動物の話したら?困ったことあれば相談もできるよ!ぐらいの感じで連れて行っていただければ、力になれると思います。

もう一つ福祉の関係者さんは何をお願いしたらいいかわからない原因があります。

「何を目指せばいいのかわからないから」だと思います。

ゴールがわからないのだと思います。ゴールがわからなければやるべきことは思いつくはずがないですよね。

解決に向けて動いたことも、専門家にアドバイスをもらえたこともほぼない福祉従事者のみなさんは、ゴールが想像できないのは当然、普通のことです。

なので、そこを埋めるのが当院の役目です。飼い主さんと福祉事業者さんと相談してゴールを設定するのがうちの最初の役目です。

例えば、猫だとしたら数すら把握できていないので、数を把握するところから始まります。これが一番最初にできる目の前の目標になることが多いです。

数がわかれば、次は目標は把握した数の猫以外に餌をあげないこと。それは他の野良猫だったり、野生動物だったり…

こういう流れになることが多いです。この 1 歩目 2 歩目も福祉従事者さんには想像しにくいと思います。

だから声を上げてください。

「動物がいて困っています。」

それだけで十分です。必要な情報は私が聞いたり集めたりしますので、その上で目標設定を一緒にして、福祉現場の動物問題について解決に向かっていきましょう。

その点をまずは理解していただくことが大事かなと思います。

関連記事

  1. こうが人福祉動物福祉協働会議

  2. 福祉現場の対応事例紹介

  3. 炎上の是非

  4. 多頭飼育はどのような問題か~ガイドライン解説①~

  5. 専門家の視点

  6. 生命尊重教育~RSPCAの方法~

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP