猫胃虫

いそうでいない、レアな寄生虫について書きたいと思います。

キーワード➡経口感染、中間宿主、昆虫、ゴキブリ、トカゲ、カエル、鳥

ポイント

  • レア度:★★★★★
  • 感染経路:昆虫類、ゴキブリ、トカゲからの経口感染
  • 同居猫への感染:なし
  • 人への感染:なし
  • 症状:★★
  • 駆虫:★

感染経路

猫胃虫の幼虫をもったバッタやゴキブリ、トカゲやカエルや鳥を食べることにより感染します(経口感染)。

都会ではゴキブリが主な感染源です。田舎だとバッタやコオロギかな?
または、それらの昆虫類を食べたカエルやトカゲや鳥を食べることでも感染します。

外で生活する猫は、このようこのような動物を食べている可能性が高く、感染する確率は上がります。

感染にはかならず昆虫類が必要となり、この昆虫類を中間宿主といいます。
中間宿主を経由しないと、猫に感染する段階まで寄生虫が成長できません。そのため、猫➡猫へ感染は広がりません。

犬にも感染できる寄生虫ですが、やはり猫よりこの手の中間宿主を食べる機会は少ないので、感染例は少ないでしょう。

猫の胃の中で成虫になり、他に行くこと(体内移行すること)なく、産卵します。卵の中には幼虫が確認できます。

つまり、糞便中の幼虫入り卵により診断します(飽和硝酸ナトリウムによる浮游法)。

猫へ感染してから卵を産むまでの期間(プレパテントピリオド)は、56-83日です(P.raraという近縁種のデータ)。

人への感染

ないと思われます。

症状

胃虫が胃壁に噛みつくことで胃炎や胃潰瘍を起こします。
アニサキスをイメージしてもらうとわかりやすいです。
そのため、嘔吐や胃内の出血により黒色便が症状として現れます。

長毛猫の毛球症による嘔吐などと鑑別する必要があります。

駆虫

薬自体は一般的な駆虫薬で成虫の駆虫が可能です。
大雑把にいうと、猫回虫のハトコくらいの近くも遠くもない親戚なので同じ薬で駆虫可能です。

複数回の駆虫薬投与が効果的と考えられます。

何度も感染させないように、猫を外に出さないこと、室内の衛生環境を整えることを徹底しましょう。

まとめ

実は私自身診断したことのない寄生虫です。
回虫と一緒に落ちてしまうし、感染していても気づいていない可能性もあります。
駆虫しても、外で自由にしている猫は再度感染します。
なにより、猫に狩られる昆虫やカエルや鳥が可哀想です。猫に狩りをさせないようにしましょう。


【参考文献】

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