猫回虫

最もよく見る寄生虫のひとつ、猫回虫を紹介します。
よく見る&よくできた薬が多いので、ルーチンに駆虫しても問題ない寄生虫ですが、寄生虫の特徴と駆虫のポイントをしっかり押さえましょう。

キーワード➡乳汁感染、経口感染、待機宿主、人獣共通感染症、幼虫移行症

ポイント

  • レア度:★
  • 感染経路:母から子へ(乳汁感染)、経口。
  • 同居猫への感染:あまりない
  • 人への感染:あり
  • 症状:★
  • 駆虫:★★

感染経路

最も一般的な感染は、母親から子どもにうつすことでしょう。
乳汁のなかに虫がいて、飲んだ子猫にうつります。乳汁感染といいます。

ミミズ、ゴキブリ、甲虫類、ネズミなどを食べることによる感染です。
これらの中に回虫の幼虫がいて、食べた猫の腸で成虫になります。これらの食べられるのを待つ場所として使われる動物を待機宿主といいます。

糞便中にでた虫卵を食べることにより、感染もします。
猫の胃の中で幼虫がふ化し、この場合は胃の壁の中に入り込みます。
成長しながら、胃→肝臓→肺→気管→咽頭→食道を通って、再度胃と腸に戻ってきて、そこで成虫になります。

排泄直後の未熟な虫卵は感染できませんが、28日で感染力を持つようになります。成熟した虫卵は1年以上感染力をもちます。
このため、定期的なトイレ掃除を徹底していれば、同居の猫同士で感染することはあまりないと考えられます。

感染から虫卵排泄までは約55日でかかります。
そのため、感染直後の猫の検便をしても検出されません。

人への感染

成熟虫卵を口にいれることでおこります。
想定されるのは、公園の砂場で遊んだ後、手を経由して口にはいることです。特に子供は注意が必要です。
人に感染すると、胃でふ化して、幼虫が体の中をさまよう幼虫移行症になり、肝臓や眼球に虫が寄生することがあるようです。立派な人獣共通感染症のひとつです。遊んだあとは必ず手を洗いましょう。

症状

猫回虫の寄生により、命を落とすことはほとんどありません。
ただし、他の原因で猫自体が弱っていると、寄生虫が更なる逆風になることもあります。
子猫に多数寄生していると、嘔吐したり、体重があまり増えなかったりの症状がでます。

駆虫

一般的な駆虫薬で可能です。スポットオンタイプが主流です。
ただし、卵や消化管以外にいる幼虫には効かないため、2週間以上の間隔をあけて複数回の投薬が必要です。

まとめ

最も有名でよくみる寄生虫ですが、命にかかわることは少ないため、軽視しがちです。
しかし、立派な人獣共通感染症のひとつであり、駆虫には意外と時間を要することから、改めてしっかり勉強し、駆虫をしたい寄生虫です。
ルーチンで駆虫すべき寄生虫ですが1回で安心せず、時には動物病院で検便をしながら確認しましょう。

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