ロミオと感染症とジュリエット

岩波書店『図書』の2022年11月号から『感染症を生き延びるーシェイクスピアと大衆演劇』(前沢浩子著)が興味深かったので、本著を参考にロミオとジュリエットの紹介、考察をしていきます。

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シェイクスピアが描いたあまりにも有名な作品『ロミオとジュリエット』

恥ずかしながら、私は内容をほとんど知りませんでした。
恋した男女が、家柄の関係上結ばれることを許されず、それなら生きている意味がないということで自害する。その程度に思っていました。

しかし実はよくある恋の悲劇というだけでなく、感染症に恐れる当時の時代背景を描写した作品でした。
そして、それは現代のコロナにも共通点がありました。

ロミオとジュリエット概要

ロミオとジュリエットはそれぞれ名家の男女である。しかしお互い仲の悪い家柄同士であったため、両家の仲直りを願う修道士ローレンスに頼み密かに結婚式を挙げて結婚した。

ある日、ジュリエットの従兄弟に喧嘩をふっかけられたロミオは従兄弟を殺害してしまい、ロミオは街を追放される。

そんなロミオと駆け落ちするためにジュリエットはローレンスに相談した。ジュリエットが仮死状態になる薬を飲み、死んだふりをして霊堂に葬られて、そこにロミオが迎えに来るという計画が提案された。

計画通り仮死状態で霊堂までたどり着いたジュリエットだったが、ロミオにこの計画の便りが届いていなかった。
ジュリエットが死んだと勘違いしたロミオは自ら毒を飲み自害。
その後、目を覚ましたジュリエットは、ロミオを追いかけて自害した。

シェイクスピアの生きた時代

最大のポイントである、計画がロミオに伝わらなかった原因こそが感染症、腺ペストです。

ローレンス神父はジョン神父にこの便りをロミオに届けるよう依頼していました。しかし、ジョンはペスト患者の濃厚接触者として隔離監禁されていたというのです。

ロミオに届けることもできず、代わりの者も、届けられない旨を伝える者も見つからなかったのです。皆ペストを恐れてジョン神父に会うことを避けたからです。

ロミオとジュリエットは感染症によって引き裂かれてしまいました。

「私たちがいた家で感染者が出たと疑われ、調査員から隔離を命じられてしまい出かけられなかったのです」。これは昨今のコロナウイルス感染症の話ではない。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』に出てくる台詞だ。

岩波書店『図書』の2022年11月号『感染症を生き延びるーシェイクスピアと大衆演劇』

これはロミオとジュリエットの作中だけの話ではありません。
シェイクスピアが生きた14世紀、腺ペストの大流行により多くの人が命を落としています。

その時代背景をシェイクスピアが強烈に作品に落とし込んだということです。
シェイクスピア自身も腺ペストの恐怖に怯えるだけでなく、劇作家としても何度も危機を乗り越えてきました。

当時のロンドンでは、死者が30人出ると、当局から劇場は閉鎖するように命じられていました。濃厚接触が増え、感染症が広がることを防ぐためです。

濃厚接触者は隔離され、人々は不要な外出を控え、劇場などの業界は低迷する。
まさに現代のコロナパンデミックと同じです。

現代人がすべきこと

14世紀は、インターネットもスマホもなく、ロミオに伝言できなかったことが悲劇を生んだ原因になりました。
感染経路も治療法もわからず、怯える日々だったのでしょう。

現代ではスマホで連絡が取れ、ロミオとジュリエットの悲劇は起きません。
コロナは感染経路もわかり、ワクチンもあります。

しかし同時に、スマホで誤情報や陰謀論に触れることもでき、現代は現代なりのパニックに陥っています。

情報が溢れる現代では、正確な情報を見極め、過去を学び、発展してきた科学を学び、過去の失敗を繰り返すことのないようにしなければなりません。

耳にしただけの一部の誤情報でワクチン反対、利権だー、陰謀だーと叫ぶのは、現代版ロミオとジュリエットの悲劇の引き金になるでしょう。

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