ペットフード協会の調査によると、犬において不妊去勢手術をしていない子が40%もいます。まだまだ予防できる病気が減らないわけですね。
予防医療はワクチンや寄生虫対策から始まり、不妊去勢手術も予防医療に含めても遜色ないと考えます。
早期の不妊去勢手術は、生殖器関連疾患や一部のがんの予防だけでなく、望まれない繁殖による生活環境・公衆衛生悪化の予防にも貢献します。
獣医師として不妊手術の必要性はまだまだ周知し続ける必要があると再認識させられる結果になりました。
手術適期
一方で近年、犬種によっては早期の不妊去勢手術を推奨しないという研究もあり、手術適期はかかりつけ獣医師とよく相談して決めることを推奨します。
犬種による不妊去勢の影響についての研究は、例えばこれ
一部、早期の避妊去勢手術よる影響を紹介します。
シーズー
メスは、6か月~1歳(23か月)で避妊手術を行うと、ガンのリスクがあがるため、2歳以上または6か月未満での手術を勧められます。オスは手術による影響なし。
コーギー
オスの場合、6か月未満での去勢は椎間板疾患を増加させます。メスは影響なし。
ダックスフント
でもダックスフントの椎間板疾患は不妊去勢手術による影響なし。
プードル
ミニチュアプードルプードルのオスは6~11か月齢で手術した場合、前十字靭帯損傷のリスクがあがる。メスは問題なし。
スタンダードプードルのオスは、1歳で去勢した場合リンパ腫になるリスクが上がります。
トイプードルは早期手術による問題は特になし。
ラブラドール・レトリーバー
オスは6か月未満、メスは6~11か月齢で手術を受けた場合、関節障害のリスクがあがります。
ゴールデン・レトリーバー
ゴールデンレトリーバーの場合、雌雄ともに1歳未満の手術で関節障害発生リスクは上昇します。ガンはもともと多い犬種ですが、これも1歳未満の手術でリスクが上昇します。
チワワ、ポメラニアン、マルチーズ、パグ
早期手術による問題は特になし。
まとめ
これまで似たような研究では海外での人気犬種が多く取り上げられ、日本で人気の小型犬はあまり言及されていませんでした。
傾向として、大型犬は早期手術による悪影響が確認されており、小型犬中心の日本ではあまりインパクトがなかったです。
ただ、うえで紹介した研究のように、日本でも飼育数が多い犬種も研究対象になったものが報告され始めています。
ここで紹介した犬種以外の結果も公表されているので、興味ある方は覗いてみてください。
ひとつの研究を紹介しましたが、他の類似研究も出てきています。これだけを信用するというより、他の研究も見たり、ガイドラインに沿って、手術適期を決めましょう。
医学は日進月歩ですね。
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