スぺイクリニックの目的

この記事を音声で聞きたい方はYou Tubeからどうぞ

スぺイクリニックとは

不妊去勢手術を多数一度にする動物病院です。

野良猫や飼い主のいない猫、多頭飼育が主な対象です。費用は安く抑えなければならないので、手術のみに特化しています。

愛護団体や保護活動をしている方にはだいぶ浸透している言葉だと思います。病院の名前自体をスペイクリニックにしている先生も増えてきました。

当院もスぺイクリニックなのですが、あえて不妊去勢クリニックという名前にしています。

これは、保護活動をしていない一般のエサやりおばちゃんにもわかりやすいようにという意図があります。

スペイクリニックの目的

野良猫や飼い主のいない猫、多頭飼育問題の解決が目的です。

一般の動物病院は患者さんの健康維持が目的で、スぺイクリニックとは異なります。

やっている不妊去勢手術自体は同じです。

スぺイクリニックは、手術環境が悪い等と批判されることがあります。

一度に多頭数集まるため、感染症が蔓延するリスクが高かったり、車の中などの一般的な手術室より衛生面で劣る環境で実施されるためです。

確かにそのような一面があることを全否定できません。

しかし、スぺイクリニックと一般の動物病院は目的が違います。目的が違えば、手段も異なるのは当然です。

一般の動物病院では、一頭ずつ全力で、絶対に死なせないように、時間も、人手も、お金もかけて手術をすることができます。

一方で、スぺイクリニックは、より限られた時間と、人手と予算で実施する必要があります。

地域に住んでいる猫や多頭飼育などの群全体を見なければならないんです。

目的が「その群全頭手術済み」なんです。

目的が違うのに、手段は同じなわけないですよね。

スぺイクリニックを否定する獣医師と影響をうけるボラ

スぺイクリニックの手術は、死亡率が高い。汚い手術。そんな手術をしている獣医師はクソ。

と批判をする獣医師がいます。

そのような獣医師は、いわゆる多頭飼育や野良猫問題を知らないんですよ。別に知らない、無知なのは構わないんですが、自分の知らない分野を、自分の知っている知識だけで批判しているのは、滑稽です。

そのような獣医師の話を聞いて、一緒になってスペイクリニックを下に見る猫保護ボランティアがいるというので、さらに驚きです。

自分のやっている活動の目的を見失わないで欲しいです。

目的を達成するために

目的は数の管理です。手術自体が目的ではありません。

手術の結果、その群の数を管理することが目標です。

そのためには、そこにいる群全頭の手術が必要なだけで、手術は必要条件であり、十分条件ではありません。

例えば、メスだけ手術したり、簡単に捕まる猫だけやって警戒心の強い子は見て見ぬふりなど、手術自体が目的になっているボランティアさんが散見されます。

特に(無料手術界隈)に多いです。

実は当院が一般人にもわかりやすい「不妊去勢クリニック」を名乗っているのはここに理由があります。スぺイクリニックでは、猫活動ボランティアさんにしか通じないと思います。

飼い主(仮)と直接話をすることに重点を置いているのです。状況を聞いて、できることを提案します。手術を勧めないことすら稀ですがあります。

ボランティアさんが窓口になっている病院なら「スぺイクリニック」でいいのですが、うちはボランティアさんを窓口にすることは基本的にありません。

窓口になってもらっているケースでも、必ず現場の状況を教えてもらいます。

何頭いるのか?全頭捕まるのか?手術後の管理はどうするのか?

目的未達成の手術は悪でしかない

なぜこんなに確認するかというと、目的が達成できない手術にいいことひとつもないからです。

コスト(お金、時間、労力)が無駄になります。それだけではありません。

この失敗した中途半端な手術を繰り返していると、手術しても意味ないという印象が強く残ります

この印象は課題解決に大きな弊害をもたらします。

他の場所でやろうとしても実施が難しくなり、スぺイクリニックの存在意義も疑われます。

私は、安価な手術を目的達成のために提供しているのであって、目の前にいる動物の手術だけやりたい方を満足させるためにやっているのではありません。

まとめ

目的を見失ってはいけません。

目的達成のために手段があります。手段のひとつがスペイクリニックです。

それを改めて考えましょう。

関連記事

  1. 手術済みの猫を見て思うこと

  2. 外猫対策における課題の地域差

  3. 適正飼養と環境エンリッチメント

  4. 手術の心得 ~全頭手術の理由~

  5. 捕獲器を使用した捕獲ポイント

  6. シェルターメディスンつまみ食い~管理編~

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP