正しく打とう猫ワクチン

猫の混合ワクチンはとても大切なワクチンです。

ワクチンの接種頻度や時期は世界的なガイドラインをもとに決められています。

https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf

本記事はワクチンをより効果あるものにするために、ワクチンの常識をもう一度見直してみようという記事です。

猫ワクチンはもう十分わかっていると思う方でも、一読の価値があるかもしれません。

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一般的な認識

子猫では

初回→2か月齢

2回目→3か月齢

3回目→4か月齢

以後、1年に1回

だと思います。これはもちろん正解です。

しかし中にはこうでない方がいい場合があります。その点に着目して説明します。

毎年打たなくていい?

最近、ワクチンは毎年打つ必要ないって聞いたんだけど?と質問されることが増えてきました。

これについてはガイドライン内でも確かにそう書かれている部分があります。

毎年打つ必要ないといわれているのは「低リスク猫」です。

低リスク猫の条件

  • 完全室内飼育
  • 単独飼育

この条件に当てはまる場合は、毎年接種する必要はないと記載されています。

当院に関わるほとんどの方、つまり複数頭を飼ったり管理している方は当てはまりません。

ただ、低リスク猫でも毎年打つ価値がある場合があり、この点は後述します。

ガイドラインでは、低リスク猫以外の猫を「高リスク猫」と分類しています。高リスク猫は、毎年接種が推奨されています。

猫の生活環境を考慮せず、毎年打つ必要がないというのは、切り取り報道ならぬ、切り取り認識ですので、注意しましょう。

時期

最初に記載した規定通りの時期でない方がいい場合があります。

いわゆる猫風邪のワクチンは発症を抑えたり、重症化予防が目的です。

で、1年に1回でいいといいつつも、予防効果が最大なのは接種後2~3か月程度。

つまり、一番予防したい前の月あたりに接種したほうが打つ価値があがるのです。

(パルボウイルスの予防効果は何年も継続します)

予防したい時期に打つ

ずっと予防したい。予防したい時期に打つってなに?と思うのは当然です。

しかし、最大効果がある時期を、予防に重要な時期にあてることでより効果的なワクチン接種になります。

猫風邪は、猫がストレスを感じて免疫力が下がったタイミングで、内部に潜んでいるヘルペスウイルスが暴れ始めて、発症します。

つまり、猫にストレスがかかる時が予防に重要な時期です。

ということは、ワクチンは猫にストレスがかかるとあらかじめわかっている場面があるなら、その前の月あたりで接種するのが最大限の効果が得られることになります。

例えば、年末年始やお盆などで旅行の際にペットホテルに預けたり、シッターにお願いしたり、親戚が来たりするような場面です。

猫にとって平穏な生活が崩されるので、ストレスがかかります。

親戚が来なくても、年越しでみんなが異様に遅い時間まで起きているということも、気にする猫はいます。

いずれにせよ、なにかしら猫のいる環境に変化があるなら、少なくともその1週間以上前にワクチンを接種しましょう。

これは低リスク猫でも同じことが言えます。

低リスクであっても毎年このようなイベント後に発症してしまう子は、ワクチンを毎年打つ価値はあると思います。

シェルターの猫

シェルターとは保護団体の施設や災害時のシェルターのことです。

シェルター猫は生後4週齢で打つことが推奨されています。

4週齢以降であれば、シェルターに入る際必ず接種です。

「そんな超子猫にワクチン打って大丈夫?!」

確かにそうなのですが、シェルターにおけるワクチン接種の目的は「シェルター内に感染症を持ち込まない」です。

その超子猫がワクチンで死亡することより、ワクチン未接種でシェルターに感染症が広がるほうが大ダメージなので、それは絶対に避けなければならないのです。

かといって子猫がそんなにワクチンで死ぬかと言われればそんなことはないので安心してください。

ちなみにシェルター猫のワクチンは、猫風邪もですが、もっと怖いパルボウイルス予防の意味合いが強いです。

超子猫にワクチンを打ちたくない場合

単純明快、接種時期まで隔離してシェルターに入れないでください。

これができる保護団体さんは大きなメリットがあると思います。そのために、隔離期間だけ預かってくれる預かりボランティアさんを抱えておくのはいい方法と言えるでしょう。

災害シェルターでは避けられない

すべてが緊急時ですので、シェルターに入る全猫に接種してください。

2~3か月以内にワクチン接種した証明できない猫のワクチンは、シェルターに入居時、絶対です。

街の獣医師は知らない

シェルター猫への早期ワクチン接種が推奨されていることは、一般的な動物病院の先生は知らないことも多いです。

それは、群管理をしたことがないからです。

自分がワクチンを接種した猫になにかあったら嫌なので、知っていても打ってくれないかもしれません。

これは仕方がないので、ご希望の場合はガイドラインを基に先生と相談してください。

災害シェルターでは、必ずシェルターメディシンの専門家の意見を聞いてください。個別管理と群管理はまるで違う分野です。

かかりつけ獣医師の個別の診療技術と経験で、ワクチンを接種しなかったり、入居直後の下痢に抗生剤を出したりされると、群管理は崩壊します。

ガイドラインの細かい解説はこちらにありますので、興味のあるかたはどうぞ。

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