蛇口を絞める活動 本当の蛇口とは?

動物愛護活動をしていると一度は耳にしたことがある「蛇口をしめる」。

これは人と動物の共生センターさんが言い始めたもので、わかりやすい図もあり、現代における動物問題を本気で解決する人たちに響きました。私も共感し、蛇口を絞める活動をしています。

閉める?絞める?

まず初めに、この記事では蛇口を「絞める」と表記しています。

通常蛇口は「閉める」、または「締める」ものです。

今回はあえて「絞める」を使ったのには、ちょっとした意図があります。(正直「締める」でもよかったと思いますが。)

漢字の用法としては誤っているかもしれませんが、この記事ではあえてこの表現にさせてください。

「閉める」は、行動そのものでしかないような気がしています。蛇口を閉めても、その蛇口が壊れていたら、水は出続けます。

「絞める」は絞られる現象や結果を示しているような気がします。

どちらかというと、出る水を絞る(しぼる)ことが目的なので、絞めるを使ってみました。読みにくかったらすみません。

この記事はまさに「閉めたつもりが絞れていない」活動への注意喚起なので、今回だけはお許しください。

絞めるべき蛇口

下の蛇口から出た動物がいわゆる余剰動物とされ、「殺処分・安楽殺」「保護施設で飼育」「家庭へ譲渡」の3つが示されています。

上の蛇口は「ペット産業」「飼い主」「野外で繁殖」が示されています。

共生センターさんは、上の段の蛇口を絞めることが大切だと主張しています。動物保護界隈でも上の蛇口を指して「蛇口」ということが多いと思います。

つまり、余剰動物の供給源を抑える必要があるということです。

ここまでは、動物の保護に携わってきた人なら十分理解しているはずです。

蛇口の解像度をあげる

私が特に力を入れているのが、「飼い主」「野外で繁殖」のふたつの蛇口です。

飼い主と野外で繁殖は分けられるようできっぱり分離しにくい、要はエサを与えているだけで飼い猫だか野良猫だか曖昧なケースが多いので。

蛇口を閉める活動として、外猫の去勢手術を進めることは非常に重要なのですが、去勢手術そのものが蛇口を閉める活動だと勘違いしている人を散見します。

手術することが蛇口を閉める活動だから、どんどん手術を進めればOKという認識の人がいるということです。

それではダメです。それだけでは根本解決にはなりません。

蛇口を絞める活動のひとつではあるものの、それだけでは蛇口を絞めたことにはならないということです。

とある団体さんは、「蛇口の元栓をしめる!」と表現をしていましたが、蛇口を絞める活動が手術だとするならば、その元栓は繁殖しないような環境づくりや管理の改善ということを言いたくて元栓と表現したのでしょう。

人と動物の共生センターさんは、もともとそのつもりで余剰犬猫(蛇口)モデルを提唱していると思いますが、解像度低く広まった感じがしているから、今度は「蛇口の元栓をしめる」と表現する団体さんが出て来た、といったところだと予測しています。

結局どちらも主張していることは同じで、私とも同じで、蛇口になっている現場でトータルコーディネートして、根本解決を目指しています。

蛇口が開きっぱなしの現場とは

その現場となっているのが、人福祉現場です。

蛇口を絞める活動とは、具体的に言うと、動物の管理者と信頼関係を築いていつでも相談できる環境を作ったり、飼い方を改善したり、ペットの終活を一緒に考えたり、そのための準備をしたり、その中で必要な医療にかけたり、見守ったり、等々です。

今ざっと挙げただけでも、去勢手術は一部です。もちろん手術だけは手伝える人もいますし、そういう人の力は必要です。できることをやるというのが大事ですので、それを否定しているわけではありません。

トータルコーディネートが大事と理解してか、理解できずかわかりませんが、手術ばかりどんどん進める「手術狂」になっている人がいます。何度も繰り返しますが、それだけでは蛇口を絞めているとは言えません。

次回『殺処分は増える』

今回は蛇口を絞める活動の解像度をあげました。

次回少し衝撃のタイトルを予定しています。次回の内容を理解するために、蛇口の解像度をあげることが必要なので、今回の内容を先に記事にしました。

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