ペットを運ぶためのキャリーケースは、多種多様でどれを選べばいいかわかりませんよね。
「ちょっと運ぶだけだから、別に安くていいよね。」
ちょっと待ったー!そんなあなたにこそ、この記事を読んで欲しいです。
獣医師目線で評価してみたいと思います。
細かいところまで書いているので、「そんなとこ気にするなよ!」と突っ込みが入りそうな部分もあると思います。実際気にしなくていいことかもと思いながらも、気になったことあるなら紹介すべきと思いますので、お付き合いください。
つまり初心者だけでなく
「今まで猫を飼ってきたけど結局どれがいいかよくわからない。経験豊富な方の意見を聞いてみたい。」
という方にも役立つ記事だと思います。
どこのスポンサーもついていない、どのメーカーも別に好きとかない私個人だから書ける、忖度なしの評価記事です。
- オススメ商品
- 大分類による選び方と理由
- 絶対に避けるべき商品
の順でやっていきます!
まずは結論から。これ買えばOKというものを紹介します。
次に選び方とその理由を解説します。なぜこれがよくて、これは避けるべきなのか断言します。
ここまで読んでくれれば、自然とダメな商品は避けることができますが、念押しでダメな商品をピックアップ。絶対に使用を避けるべき商品です。
それぞれメリットデメリットあるし、両方紹介してあなたにあったものを選んでね!なんて甘ったるい記事にはなっておりませんので、よろしくお願いします。
基本猫メインで書いていきますが、犬も大して変わりません。
オススメ商品
これらはお勧めです。
ボンビアルコンエコノア・2
リッチェルキャンピングキャリー ダブルドア Sサイズ
おそらく多くの獣医師が、これは使いやすいよねという意見に賛同します。
欠点が見つかりません。
ただ、市販がなくなってしまったようです。
これに似た商品を探せばいいというイメージを持ってもらうために紹介させていただきました。
リッチェル キャンピングキャリー ダブルドア Sサイズ
https://item.rakuten.co.jp/familypet/92500706/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_117_0_10002089
上の商品の後継品。おすすめ。
細かいことまでいうならば、横扉が両開きできなくなり、取り外しもできないのがおしいポイント。
あと、車で運ぶ際にシートベルトしにくいという意見もありますが、この視点は私は持ち合わせていませんでした。
後継品になって丸みを帯びたので、大量にキャリーケースが必要になるような病院やシェルターなどの施設においては、重ねて収納ができなくなってしまったのが△
一般の飼育者には関係ありませんけどね。
アイリスオーヤマ ペットキャリーS
https://item.rakuten.co.jp/cat-land/251124/
ほぼ満点キャリーケースではないでしょうか。
横扉も両開きで、はずすこともできます。
唯一気になった点を挙げるとしたら、上扉のロックの土台?が若干邪魔になること。
洗濯ネットがひっかかり、モタモタしてしまい、若干のストレスを感じたことがあります。
あとは、形状見てもらえるとわかりますが、小さい突起でしかないので何かにぶつかって折れないかな?と勝手に心配になってます。ここが折れた経験はありませんけど。
アイリスオーヤマ ドライブペットキャリーS
https://item.rakuten.co.jp/cat-land/228234/https://item.rakuten.co.jp/cat-land/228234/
こちらは車移動を考えて、シートベルトが通る部品が付属している商品です。
すみません、こちらは私は使用経験ないので、買いです!とは断言できませんが、見る限り良さそうなのでここで紹介します。
シートベルトは1か所のみ通すことができるようで、ないよりあったほうがマシな程度ですかね?
使っている人、レビューあれば教えてください。
満点キャリーかもしれませんが、あえてふたつだけ。
アイリスオーヤマのこの2商品は、リッチェルのものよりプラスチックが少し薄いのか、少しちゃっちい感じがします。
リッチェルのほうが剛性が上という感じがすることは申し添えておきます。
もうひとつは、中に安心リードがつけられるようになっています。
まずこの機能云々は置いといて、留め具が(右の丸写真)掃除の邪魔になりそうです。中はすっきり!が個人的には好きです。
カインズ ペットハウスにもなるツインドアキャリー S
これも構造的には◎
ただ、上扉のロックの仕方が特殊で、慣れないとやりにくいです。
慣れても、上の製品に比べるとやりにくいです。
やりにくいということは、ロックに時間がかかり、猫が逃げる可能性があるということ。
大まかな分類による選び方と理由
ここまで紹介したキャリーケースを選んだ理由をひとつずつ解説していきます。
上記商品以外のものにしようと考えている方には、選ぶためのポイントとして読んでもらえると有益なはずです。
◎ | × | |
材質 | プラスチック | 布 |
大きさ | 狭い | 広い |
扉位置 | 上の横 両方 | どちらか |
鍵 | ロック | チャック マジックテープ |
飛び出し防止リード | なし | あり |
材質
プラスチックがいいです。
(ポリプロピレン等材質は色々あると思いますが、プラスチックとまとめて呼ばさせてください)
布製品は汚れた時の洗浄消毒が難しいです。難しいというのは、不十分になるということです。
プラスチックなら水で洗浄、洗剤も利用してごしごしこすれる、そして消毒薬も使いやすいです。
布製は折りたためることがメリット!と言いますが、折りたたまないでください。
キャリーケースは普段から使いましょう。
通院や災害時などの必要な時だけキャリーに入れるのは難しいし、できても猫にとって大きなストレスがかかります。
普段生活している場に置いておいて、その中でエサを与えたり、寝床にしたり、キャリーに入るトレーニングを日常生活で行ってください。
キャリーケースの中は安心できる場所として認識してもらうことが大切です。
繰り返しますが、キャリーケースは片づけないでください。
大きさ
狭いほうがいいです。
猫なら奥行50cmもいりません。
狭さは事故予防と動物の精神安定に一役買います。
中に入れて運ぶ際は、どうしても揺れます。動物が暴れることもあります。
その時に中が広いと、動物の身体とキャリーケースの内壁に間に大きな隙間ができます。
内壁へぶつかる衝撃が大きくなります。
また、動物は身体が何かにくっついている方が安心します。
そのキャリーケースの中でずっと生活するわけではありませんので、広いメリットはありません。
狭くて可哀想という勝手な想像で、広いキャリーケースにしないようにしましょう。
大きめのキャリーケースに入れられた猫が下の絵のようになっているのは、よくあることです。
短辺で猫が収まるほど大きいのはよくありません。短辺の長さが長辺となるくらいのキャリーでよかったとすら言えるかもしれません。
扉位置
上も横も両方ある方がベターです。
左右(手前と奥)両方に扉がついている方が、後述する処置のやりやすさは上がります。
その子によって、上と横のどちらから入れる(入る)方がいいかが分かれます。これはその子の好みや入れる方法によりわかれます。
また、家で入れる場合と、動物病院などの他所で入れる場合によっても変わります。
例えば、家で抱っこして入れるなら上からがやりやすいでしょう。
しかし、動物病院で処置が終わってるときには、横の扉があいてた方が猫が自分でキャリーに帰りやすいです。
抱っこが嫌いな子は、家でも横からのほうが入れやすいです。
上と横両方あるということは、大きい扉も小さい扉もあるということでもあります。
入れるときは間口が大きい方が入れやすいですが、出すときは飛び出しを注意して出すことが多いので、狭い間口があったほうがいいです。
また、キャリー内で動物になにかしらの処置をする場合、上からやりやすい処置と、横からやりやすい処置があります。
処置とは、動物病院で獣医師が実施するものと、家で飼い主が実施するものとがあります。
例えば、当院ではキャリーの外から注射を打つことが多いので、両側面に扉がついていたほうがやりやすいです。緊張して奥で固まっている猫に、手前で注意をひいといて逆側の扉の格子の間からサッと注射することができます。
獣医師が処置するならプロだから大丈夫でしょ!と言いたい気持ちはわかりますが、獣医師もやりやすい方が、処置も素早くうまくできますし、それがなにより動物にストレスをできるだけかけないための一助になります。
家での処置の例もあげます。
飲み薬を飲ませたり、ダニなどの薬を首元に付ける場合も、上からがやりやすいです。
腎臓が悪くなって家で点滴をしてあげる必要がでた場合、キャリーの中でやる方法があります。
この際も、キャリーの上側が開いた方が点滴は圧倒的にしやすいです。
ただ、上が開いた状態は、猫が逃げやすいです。
逃がさずに処置することを優先したい場合は、横だけ開けるのが望ましいです。
結局、上も横もどちらも開くことが重要です。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/nyanko/m226404.html?sc_e=afvc_shp_3180269
おすすめしているものとは違う形のキャリーケースであっても、広い間口と狭い間口両方あるほうがいいという判断基準を持ってもらえると◎
という意味では、上のような商品もいいと思います。
大きくも開けられるし、小さい窓のような扉もある。
ただ、中がよく見える必要があるかは…ないといえばないですね。猫からも周囲がよく見えるということで、よりストレスにさらすことになります。
タオルなどをかければ問題ないですけどね。
この商品は他の商品に比べて小さいです。なので、4kg以下くらいの小さめ猫であれば積極的に選んでもいいと思います。
鍵
扉が開かないようにするために、カチャっとロックがかけられるタイプが◎
布製キャリーケースによく採用されるのが、チャック、マジックテープによるものです。
チャックは開けられて、逃げられます。
マジックテープはその100倍開けられて逃げられます。
絶対におすすめしません。
また、閉じるのに時間がかかることもデメリットです。
チャックやマジックテープに良い点はひとつもありません。
飛び出し防止リード
リードをつけて、飛び出してしまってもキャリーケースにつながっているから逸走防止になるというものですが、不要です。
突然飛び出してしまった場合に安心なのですが、猫の場合、首輪すっぽ抜けになることがあります。
機能すればいいものでしょうが、これがあることで安心して扉をあける行為のほうがリスクが高いでしょう。
使い続けることはまずありません。つけるのが面倒極まりないです。
暴れる猫にはつけられませんし、つけるまで落ち着いていても暴れると危ないです。
汚れたら洗いにくい等もありまして、余計なものは変についていないほうがいいでしょう。
ちょっと気になる点
絶対にさけるべき商品の前におまけとして、個人的にちょっとここが気になるな~あえて買わないかも、という商品を紹介します。
たまたまネット上で見つけただけなので、名言はできませんが。
なにが気になるかわかりますか?
無論、私が気づいていない問題点もあるかもしれません。が、私が気になったのは…
取っ手です。
人間工学に基づいていることではなく、構造的に、取っ手で持つと蓋の留め具だけですべての質量を支えることになってませんでしょうか?
いや、大丈夫なのかもしれません。大丈夫なように設計されているのかもしれません。
それでしたらすみません、素人がしゃしゃり出て。
でも猫が入った状態でこの取っ手を持つと網の上蓋がたわみそうですし、最悪取っ手がボロン!とかバキっと壊れそう…
みなさん、虫かごの取っ手を持ってたら取っ手が外れて、落とした衝撃で蓋が開いて、中のクワガタが、カマキリが、セミが、バッタが、逃げた経験ありますよね。
それをイメージしてしまう構造なのです。
幼いころの衝撃はずっと覚えているものですね…このキャリー、その点大丈夫ならいいですが気になったので、紹介させていただきました。
オススメ商品も同じことが懸念される可能性もありますけど、なんとなく私のイメージで格子状のこの構造は避けたい…
絶対に避けるべき商品
ここまで読んで、忠実に守ってくれれば変なキャリーケースを買ったり、使い続けることはないと思います。
ただ一応番外編という形で、そういうこともあるのか!という商品を紹介します。
取り出しにくい
上の扉が両方開くのですが、片方しか開かない場合動物を取り出しにくいです。こんな取り出しにくいケースがあるものかと感心するほどです。
当然緊張している動物は、締まっているフタのほうに逃げるので、取り出すルートがL字になります。
シャーシャー猫なんて、出せる気がしません。
間口も狭いので腕も抜きだしづらく、猫が抵抗しようものなら更にその間口にひっかかります。
最近のものは両方開くようになったみたいですが、これでも間口の広さは半分。
逆側が開くようになり、どちらからもアプローチできるからいい!のではなく、むしろ反対から逃げられてしまいます。真ん中の開いた状態の扉が邪魔して更に使いづらさアップ。
改良されているようで、全く意味のない変更でしょう。
逃げる
超重要。絶対に避けるべき製品なので繰り返しますが、布製品はやめてください。
布製品でよく使われているチャック、ジッパーは勝手に開きます(猫があけます)。
そして猫が逃げます。
この商品も改良されたのか、以前は上蓋の一部がマジックテープでした。
今よりもっと逃げやすいかったです。マジックテープなんて洗濯ネットに入った状態ですら逃げられます。
逸走事故だけは絶対に避けたいですよね。
今すぐ買い替えを。
このツイートのリプ欄読んでいて驚いたのですが、「これと同じものを使っています。気を付けます!」と言っている人がいました。
今すぐ新しいものに買い替えてください。気を付けて済む問題ではありません。
これもこの扉からパカっと逃げます。このキャリーは犬用です。猫は確実に逃げます。
使わないように。
っていうか犬にしても、この小窓の使用用途がわからない…
自立しない
上ががばっと開くのはいいのですが、動物が入っていない状態で蓋をあけるとコケます。
蓋の重さに耐えきれず、自立できません。
これでは猫を入れるときに写真のように傾いてしまい、入れにくいです。
地味にストレスがたまります。
入れにくいだけならまだしも。先述した家でキャリーに慣らす用途では使えません。
コケてたら猫は入りませんし、コケた音にびびったりもします。
最後に
なんでこんなものが売っているの?!という商品もまだまだ多いペット関連用品。
その中でもキャリーケースはどう選んだらいいのかわからない商品の代表ではないでしょうか。
安全性確保第一で、使いやすさは人と動物にとってのストレス負荷に直接影響します。
結論は最初に紹介した商品を買っておけばOKですが、それでもまだ改良ポイントはあります。
新商品や改良がおこなわれていっても、選ぶ際の注意すべきポイントは変わりません。
都度この記事に戻ってきて確認してから買ってもらえると嬉しいです。
この情報はぜひ載せて!というものがありましたら、TwitterやHPからご連絡ください。
この記事をよりよりものに育てていきましょう!よろしくお願いします。
リッチェル、シートベルトがしにくい? 感想があるみたいですが、上部にシートベルトを通せるように設計されています。コツはいりますが慣れればすんなり入れられるようになるかなと。
Sサイズ、Mサイズともにシートベルトが止められるので、我が家のマストなキャリーです。
ありがとうございます。
私にはシートベルトについての視点がなかったので、参考になりました!
記事もアップデートしたいと思います。