https://news.yahoo.co.jp/articles/00d172f2ad81978cbba579de2e9ec6b325e39420
兵庫県丹波市春日町野村の動物病院「はた動物病院」(畑晃一院長)は、高齢者や単身者を対象に、会員制のペットの引き受けや譲渡のサービス「きずな会員」制度を導入している。飼い主が健康上の理由でペットの飼育が困難になった場合に、引き取りや新たな飼い主への譲渡を行う仕組み。
この制度は素晴らしい。ただ、殺処分防止とは一切関係がない。その一点だけ、はっきり伝えたいです。
私のブログの読者はこのニュースを見て、色々と考えてしまう層だと思います。
殺処分は防げるのか?
月額2,200円で大丈夫か?
案件がどんどん出てきたら?
里親見つからなかったら?
私はこの制度に賛成です。何の不安も感じていませんし、応援したいですし、多くの動物病院がマネしてくれればいいと思います。
ただ、違和感はあります。
賛成の理由1
飼い主が死亡、もしくは余命6カ月以内と宣告を受けた、高齢などの理由で施設に入所する、要介護2以上、認知症段階中度以上などに当てはまる場合、同院がペットの引き取りや譲渡を行うもの。
とあります。引き取り条件を結構絞っている印象です。
なので、正直そんなに引き取らなければならない事例がバンバン出てくることはないと思います。キャパオーバーになることはほぼないでしょう。
賛成の理由2 特段新しいことではない
動物病院勤務の方、院長、自分の病院にしっかり通ってくれている常連さんに何かあったと知ったらどうします?いつも診ている犬や猫を一時的に預かったり、最終的に引き取ったりした経験ありませんか?
心の広い院長ならそうしたことがあるはず。もしくは、今まさによく来ている患者さんを思い浮かべてください。その方に何かあった際は、診ている犬猫を、預かってもいいと思いませんか?
これをただ明記した制度が今回ニュースになった制度だと思います。つまり動物病院をやっていると普通にあり得ること、これまでもあったことです。それを契約という形に落としたまでだと思います。
別に悪いように言ってるわけではなく、契約していたほうが安心できる飼い主も少なくないと思います。いい意味で、契約という明確なものにしたと言えます。そういう意味で「保険」としての新しい形かもしれません。
賛成理由3 譲渡しやすい動物
きずな会に入るような方に飼われている動物です。里親を見つけやすい動物であることはほぼ確実です。それを1頭譲渡すればいいのです。
きずな会に入るような方のペットは、適切な医療を受け、人に慣れており、譲渡しやすい条件が揃っています。現在の収容施設や民間譲渡の現状を見れば、このような動物が殺処分に至るケースはほぼありません。殺処分が問題になるのは、全く異なる文脈の動物たちです。
野良猫や多頭飼育崩壊した年齢も状態もわからない(悪い)動物を何頭も医療にかけて、綺麗にして、人馴れさせて、譲渡するわけではありません。保護活動における譲渡とは別次元といえます。
里親見つからなかったら?の心配はあまりする必要がないでしょう。
会費設計は難しい
月額2,200円を高いと取るか安いと取るかはわかりません。繰り返しますが制度自体、性質は完全に保険商品なので、料金設計は超多数の統計資料をもとに想像もできない計算をしていかなければ高いか安いかは判断できません。
入会して次の月にその時が来たら大誤算?その可能性もありますので、飼い主が高齢なほど、もしくはすでに要介護や要支援認定のあるほど、さらにペットが高齢や持病持ちであるほど、会費は高額にすべきです。保険商品と考えれば当然ですよね。
とはいえ会員が100人いれば、毎月20万円入ってきて、所得税分を差し引いたとしても、費用面だけで考えれば1匹分の維持管理費は担保できそうです。
当然統計資料はないので、こればかりは回していかないとなんとも言えないところです。
そもそも大前提として、病院が多少赤字を掘ってもいい覚悟でやってもいいかもしれません。病院のサービスを充実させる投資として価値があるかもしれませんので。
殺処分は関係ない
この病院の院長は、「ペットの殺処分を防ぎ、社会貢献の一助になれば」と話している。
ここが違和感です。
申し訳ありませんが、この院長は殺処分の現状を理解していないように思います。賛成理由3で書いたような動物は今の時代殺処分されません。
この制度が殺処分を防ぐことにも、ひいては社会貢献にもなりません。あくまで個人向けの優れたサービスであり、それ以上でも以下でもありません。お手本のような素晴らしい飼い主のペットとの生活をさらに安心・充実させるための制度です。
殺処分を本気で語りたいなら、多頭飼育崩壊や福祉現場での課題、劣悪な保護活動家問題と向き合うべきです。
この制度はそこには届かない。それだけのことです。
良い制度を正しく評価する言葉を、業界全体がもっと持てるようになってほしいと思います。






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