メリットだけ示されたアンケートの本当の意味

まずはこのWWFジャパンのXポストを見て下さい。

この企画を見て、あなたはどう思いましたか?

「すばらしい取り組みだ。」

「私もノントレー包装にすべきだと思います。」

「自分でも気軽にできるサステナブルな取り組みがあると気づけた」

「これから全部ノントレーでいいじゃん」

みたいな感想を持ちませんか?素直ですね~。素晴らしいと思います。

でもこの企画の目的は、サステナブルな取り組みを促進することではないと私は思います。

これはWWFジャパンのポジショントークであり、WWFジャパンの組織宣伝アピール企画でしかありません。

なぜ素直にアンケートとして認知すべきではないのか?常に思慮深い人でいられるように、この詳細を解説します。

悪い事ではない

WWFジャパンのアピール企画でポジショントークと決めつけてしまいましたが、まずそうであったとしても、決して悪い事ではありません。

私自身この企画を否定するつもりも一切ありませんので、その点はまず最初に申し上げておきます。

むしろポジショントークやアピールは絶対に不可欠です。これがないと自分たちの活動が花開くことなく終わりかねません。(うちも見習わないと)

ただ、浅慮で簡単に誘導されてしまう方が多くいますので、多角的視点で物事をみるべきだという話をするにあたって、この例を取り上げさせていただきます。

WWFジャパンさん、すみません。

繰り返します。

WWFジャパンのこの企画を否定する記事ではありません。

誘導尋問

この企画は、アンケートと称した誘導尋問になっています。

なぜか?それは、ノントレーにしたときのメリットしか提示されていないからです。

  • 使い捨てプラスチックを削減
  • 家庭ごみが減る
  • かさばらない
  • そのまま冷凍できる

以上がメリットとして挙げられていて、これを踏まえて「ノントレーのほうがいいですか?」と問いかけられています。

多くの人がメリットだけを感じて、ノントレーに変更してもいいと回答するのは当然です。つまりメリットだけを提示することで、YESに誘導される、誘導尋問なのです。

デメリット

ここでは提示されていないノントレーにしたときのデメリットを考察してみましょう。

あくまで私の想像なので、間違っている可能性はあります。

販売価格があがる

そもそもトレーに乗せて販売する意味を考えてみます。

ノントレーの場合、ビニールにいれて販売することになるのでしょうか?

トレーに乗せることでキレイに平置きされて、効率よく並べることができます。

また商品自体も目視しやすく、店側も客側も、傷んでいる商品を発見しやすいです。

ノントレーでそのまま冷凍できるとなると、購入から開封まで日が経ちます。購入から何日も経ったあとに初めて商品の傷みなどに気づくケースが増えます。

そうすると返品交換対応することになり、その商品は廃棄になります。

販売前にチェックできていれば、傷んだ部分をトリミングして販売したり、加工品に回したりすることができますが、そのチャンスを失うことになります。

つまり、きれいに平置きができないと、販売スペースがより多く必要になり、検品により多くの時間と人手が必要になり、廃棄も増える可能性があるかもしれません。全然エコじゃない。

となると同然、商品の価格に反映します。

廃棄時の二酸化炭素が増加する

「家庭ごみが減る」のは、楽でいいですよね。

ただ、ここ数年プラスチックごみが減ることによって、ごみを燃やすときに燃料を追加しなければ燃え切らない事態になっていると聞きます。

プラスチックは油からできているので、可燃ごみの中にある程度プラスチックが入ることで燃料になっているからだそうです。

プラスチックごみが減ることで、余計な燃料を添加追加する必要が出て、実は排出される二酸化炭素が増えてましたというオチです。

専門家ではないので素人なりの考えですが、ものごとはすべて効率を考えられてやられているということですね。

同じ失敗を繰り返すな

デメリットは私の想像でしかありません。それはWWFが提示していないからです。

メリットとデメリット両方提示したうえで問いかけるのが純粋で平等で価値のあるアンケートです。

WWFもこれをアンケート結果として使うつもりは全くないと思います。

新しい取り組みには必ず反対意見、デメリットがあります。それありきで新しいチャレンジをすることは素晴らしいのですが、似たような失敗はこれまでなかったのか?ということくらいは考える必要があります。

プラスチックストロー廃止運動によって、紙ストローでまずいジュースを飲んでるのに、実は全然エコじゃなかった。

ビニール袋を廃止したら、多くの人がビニールを買うようになってビニール袋の消費量は減らない。更に洗濯していないエコバックを持って生鮮食品売り場をうろうろするおばちゃんがいて、衛生面から悪影響が…。

みたいな失敗はもうやめましょう。

一見環境にやさしいというだけで、浅慮に賛成している場合ではありません。

ものごとは常に多角的に見ていけるようになりましょう。

WWFジャパンは環境にいい活動をしているアピールをしなければならない組織なのです。そういうポジションなのです。

いずれ自分に返ってくるデメリットを想像し、許容できるか?そこまで考えるべきです。

関連記事

  1. 無償ボランティアを期待する理由

  2. 適正飼養と環境エンリッチメント

  3. 航空機ペット同伴搭乗は無意味

  4. 東京都は殺処分ゼロ 正しい認識と課題

  5. 野生動物の市街地出没

  6. 殺処分ゼロを訴えるなら~神奈川県警の事例から~

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP