最初にはっきりお伝えしておきます。私は保護活動をされている方々に、心から敬意を払っています。野良猫や、殺処分されてしまう猫の数が減っているのは、間違いなく保護活動のおかげです。私には真似のできないことで、本当に尊敬しています。
そのうえで今日は、あえて刺激的なタイトルにしました。販売業への規制は自分たちには関係ないと考えている保護活動の方こそ、実はいちばん危ないかもしれない、という話です。
先に結論を二つだけお伝えします。ひとつは、同じ口で一方を批判し、もう一方を称賛するのはやめようということ。もうひとつは、いまペットショップやブリーダーに向けられている規制は、近い将来かならず保護活動の側にも及ぶということです。
同じことをしているのに、片方だけ規制がない
まず前提の整理からです。
いま、ペットショップやブリーダー、いわゆる第一種動物取扱業には、飼育施設の基準が細かく設けられています。ケージの広さ、従業員一人あたりの飼育頭数、繁殖の回数など、けっこう厳しいルールがあります。
ところが、同じように動物を施設の中で保管し、飼育し、管理している第二種動物取扱業や、それにすら当てはまらない個人の保護活動には、こうした施設基準の規制がほとんどありません。
やっていることの中身は同じなのに、片方には基準があって、片方にはない。 これは、かなり大きな非対称ではないでしょうか。
譲渡会と爬虫類の即売会は、何が違うのか
もうひとつ、譲渡会の話をさせてください。
譲渡会は、新しい飼い主さんを見つけるためにとても有用で、全国で行われています。ここは疑いようがありません。
でも、少し引いて見ると、やっていることは爬虫類などの即売会イベントとよく似ています。動物を普段の暮らしから連れ出し、小さなケージに入れ、見知らぬ場所へ運び、大勢の知らない人の視線にさらす。特に猫にとって、これはかなりのストレスです。
それなのに、譲渡会は「推奨」され、爬虫類の即売会は「批判の嵐」になる。爬虫類が食品のパックのように詰められた見た目を受け入れられない人がいるのは分かります。でも、動物にかかる負担という点では、本質は同じはずです。譲渡会を認めている人が、同じ口で爬虫類の即売会だけを批判するのは、少し筋が通らないように感じます。
8週齢規制と、保護現場の早期譲渡
分かりやすい例をもうひとつ。
第一種の販売業では、生後8週齢・56日未満の子犬・子猫は販売できません。親から早く引き離すと社会化に良くない、という動物福祉の観点からの規制です。
小さい子ほど欲しがる人が多いので、これは販売業者にとっては不利なルールでした。それでも動物のために導入された。ここまでは筋が通っています。
でも、同じことが保護の現場では平気で行われていたりします。親猫と子猫を一緒に保護したのに、子猫だけ先に譲渡が決まり、2ヶ月に満たない子猫をどんどん手放していく。あるいは子猫だけを保護し、親猫はTNRで元の場所に戻す。
TNR自体は価値のある活動です。ただ、早く親から引き離すデメリットが、販売では規制されて、保護では問われないというのは、やはり矛盾だと思うのです。
「衝動買い」を叩くなら、里親探しの衝動も
ペットショップが「可愛い」で衝動買いをさせる、という批判をよく聞きます。私もその批判自体は理解できます。
でも、SNSで拡散された子猫の写真を見て、勢いで「うちで引き取ります」と手を挙げる。この里親探しにも、限りなく衝動買いに近いものがあると思うのです。
片方の衝動だけを「けしからん」と抑え、もう片方には見て見ぬふり。 ここにも同じ矛盾があるのではないでしょうか。
災害時の避難でも、「批判の熱量」は同じではない
前回の記事でも触れましたが、この非対称は、平時のルールだけの話ではありません。災害の現場でも同じことが起きています。
先日、熊本県の地震でイオンモール熊本店内のキャットカフェ「モフ」が被災し、店内の猫25頭全員が無事に避難したというニュースがありました。夕方の発生でお客さんもいたなか、全頭をキャリーに収容して避難させた対応は、動物を扱うプロとして本当に見事なものでした。
ところが避難の初報が流れた段階では、SNS上に「動物取扱業者としてちゃんと避難できているのか」「猫を放置しているのではないか」といった、決めつけに近い批判が並びました。蓋を開けてみれば素晴らしい対応だったわけですが、ここで考えたいのは、もし同じ状況に立たされたのが保護団体だったら、はたして同じ熱量で批判されただろうかということです。
一方は「動物で商売をする存在」として厳しく疑われ、もう一方は「動物を保護する存在」として「仕方ないよね」と許容される。動物にとっては、預かっている主体が第一種であろうと、第二種であろうと、個人であろうとNPOであろうと関係ありません。評価や批判の物差しは、事業者かどうかではなく、あくまで動物福祉に置かれるべきです。
同じ物差しで、フェアに議論しよう。他人事ではないのだから
念のため、もう一度言います。私は保護活動を否定したいわけではありません。批判したいのは「人」ではなく、片側だけを規制して、もう片側の同じ行為には目をつぶってしまう、制度と議論の偏りです。
殺処分を減らすという目的は、みんなが共有しているはずです。だからこそ、販売業に求める基準と同じ物差しを、保護の現場にも当てはめて考える。 そういうフェアな議論が、そろそろ必要な時期に来ているのではないでしょうか。
そしてなにより保護活動をしているみなさん、声の大きい団体が主張するペットショップ等への規制。安易に賛同せず、一旦落ち着いて考えましょう。
今日の話には賛否あると思います。同じ現場に立っている方、動物と暮らしている方の率直なご意見を、ぜひ聞かせてください。あなたはどう感じましたか。






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