「うちに餌を食べに来ている野良猫の手術」の依頼の中に、稀に既に手術してある猫がいたりします。これはあまりよくない事例です。
手術してあること自体はいいのですが、他に色々な理由でよろしくないと言えます。
他人の飼い猫
まず、誰かが飼っている猫の可能性です。
室内飼養が推奨されているにも関わらず、猫を外へ出していることが原因です。
が、
そっちが悪いと言い切るのは浅はかすぎます。
外飼いを禁止されているわけでもないし、偶然逃げてしまっているのかもしれません。
何日もみているならまだわかりますけど、TNRを頑張っている人は見慣れない猫がいたらすぐ手術をやりがちです。
急ぐ気持ちも理解できますが、少なくとも近隣住民への聞き込みは必須です。
TNR済み
地域猫やTNR実施済みの猫である可能性があります。
「耳カットしてるでしょ?」
そうなんです。でもそれが小さい場合を忘れてはなりません。
上の写真のねこは手術済みの耳カット猫でした。
このように捕まえて近くで見たらわかりますが、外を歩いていても迷うような傷に見えます。
本当に傷と見間違えるので、耳カットは必ず大きめにすべきだと思います。
逆に、小さめの耳カットに見えたけど、でっかいタマタマをぶらさげて威張り散らしているオス猫もいます。
とにかく紛らわしいので、小さめの耳カットと傷は慎重に見分ける&判断するにはどうすべきでしょうか。
手術不明猫の対応
メスの場合
エコーやレントゲンでは、通常の卵巣と子宮を見つけることは困難です。
そのため、手術痕や実際にお腹を開けなければなりません。
捕獲、運搬、鎮静し、毛刈りをして手術痕があれば不妊手術をした確率が高いと言えます。
外生活が長い猫や若い猫の場合、不妊手術以外の手術をしていて、不妊手術はしていない可能性は、ほぼないと言えるからです。
しかし、お腹まわりに傷跡が多い猫もいます。
(あれ、なんの傷ですかね?授乳関連の傷なのか?喧嘩でお腹なんかやられませんし、、、謎)
手術はお腹の真ん中を切るので、左右どっちかや斜めに傷がある場合は、手術痕ではないとわかります。
しかし、多数の傷跡の中にお腹の真ん中、まっすぐの傷がある場合、もはやわかりません。
なので、確定させるにはお腹を開いて子宮と卵巣を探す、つまり不妊手術と同じことをやらなければなりません。
いやむしろ、ないかもしれない子宮卵巣を探しに行くので、通常の不妊手術より大きめにお腹を開く必要すらあります。
上の写真はどちらでしょう?
この子はお腹を開けてみたら子宮と卵巣があり、未手術でした。
きれいな手術痕ではないのでわかりそうですが、真ん中だし、まっすぐになっている部分もあるし、他に傷がない。ん~開腹しなければ、確証はできません。
オスの場合
オスはおとなしい猫なら後ろからタマがあるか確認します。
難しい場合、やはり鎮静をかけて確認します。メスと違って外から確認できるので、簡単です。
ただし、「陰睾(いんこう)」といって、字のとおり「睾丸が陰に隠れている状態」の可能性は忘れてはなりません。
オスのタマは、生まれたときはまだ袋の中にありません。まだお腹の中にあります。成長とともに袋の中に降りてきます。
それがなんらかの異常でタマが袋まで降りてこない子が稀にいます。
お腹の中や、袋まで降りてくる途中で止まっているのです。
特にお腹の中に停滞している場合は外から触ってもわかりません。
つまり、外から確認できなくても、未去勢の可能性があるということです。
となると、やはりメスと同様お腹をあけて確認する必要があります。
私自身、手術済みかわからないオス猫の陰睾は経験ありませんが、可能性としてはゼロではありません。
まとめ
野良猫対策の活動をされていれば、必ず見かけない猫、手術してあるか不明の猫に遭遇します。
そのとき、慌てて手術をするのではなく、必ず周囲に確認を取ることが大切です。
また、外にリターンするのに可哀想だからと耳カットをしなかったり、小さくカットしたりすると、余計可哀想な経験をさせてしまう可能性があります。
一個ずつ丁寧な活動を心がけたいですね。
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