このたびの熊本県での地震により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。今なお不安な日々を過ごされている方も多いかと思います。まずは皆さまのご無事と、一日も早い日常の回復を心からお祈りいたします。
熊本県で発生した地震により、イオンモール熊本店内にあったキャットカフェ「モフ」が被災しました。しかし、店内にいた猫25頭全頭が無事に避難し、広島県内の別店舗へ移送・到着したというニュースが入ってきました。この対応は、動物を扱うプロとして本当に「あっぱれ」と言うべき内容だったと思います。
25頭を確保して避難させることの難しさ
キャットカフェは、お客さんと猫が触れ合える広いスペースを持つ業態です。多数の猫が自由に動き回れる環境の中、地震発生時にその全頭をキャリーケースに収容して避難させるのは、決して簡単なことではありません。
さらに今回は地震の発生が夕方だったため、店内にはお客さんもいたと考えられます。お客さんの避難誘導と、猫の確保・スタッフ自身の避難を同時並行で進める必要があったはずです。想像力を働かせれば、これがいかに困難な状況だったかが分かるはずです。
こうした対応を可能にしたのは、日頃からの備えがあったからだと考えられます。
- 災害時の避難マニュアルの整備
- スタッフへの浸透・訓練の実施
- 猫一頭一頭の性格や隠れ場所の把握といったきめ細かな日常管理
こうした積み重ねがあって初めて、25頭全員の同行避難という成果につながったのではないでしょうか。具体的にどのようなマニュアルや訓練を行っていたのか、当事者の話を聞ける機会があればぜひ知りたいところです。
「批判ありき」の投稿と、蓋を開けてみた結果
今回、SNS上では「動物取扱業者としてちゃんと避難できているのか」「猫を放置しているのではないか」といった、決めつけに近い批判的な投稿も見られました。それに対し「人命優先なのだから多少の取りこぼしは仕方ない」というコメントも多く見られました。
その考え方自体は間違いではありません。ただ、今回は蓋を開けてみると素晴らしい対応が明らかになり、結果的に平和に着地しました。もし仮に1頭でも取り残され被害に遭っていたら、状況はまったく違う展開になっていた可能性があります。
プロと個人・団体で「批判の熱量」は本当に同じか
ここで考えたいのは、動物取扱業者と動物保護団体とで、同じような事態が起きたときに世間の批判の量が同じになるのかという点です。
一方は動物を利用して商売をする存在として非難され、もう一方は動物を保護する存在として「仕方ないよね」と許容される——そうした構図が実際には起きているのではないかと感じています。
動物にとっては、預かっている主体が第一種動物取扱業者であろうと、第二種であろうと、個人であろうと、NPOであろうと関係ありません。本当に動物のことを考えている人であれば、どちらに対しても同じ熱量で評価・批判をするはずです。それでも世間体としては、批判の矛先がプロに集中しやすい傾向があります。
プロに厳しい規制を課すのであれば、同じ内容の飼育・保管を行う個人にも同等の規制を課すべきです。基準とすべきはあくまで動物福祉であり、事業者かどうかではないはずだからです。
同行避難・同伴避難の対象は「犬猫のみ」でいいのか
もう一点、災害に絡めて指摘しておきたいのが、同行避難・同伴避難の対象動物についてです。各自治体で同行避難・同伴避難の取り組みが進められていますが、対象として明確に想定されているのは実質的に犬猫のみという雰囲気があります。
亀、蛇、トカゲといった爬虫類や、インコ・大型オウムなどの鳥類について、同行避難の対象として明確に発信している自治体はほとんど見当たりません。犬猫に比べて好き嫌いが分かれやすい動物であることを考えると、現状はある程度やむを得ない面もあります。
しかし一方で、動物愛護管理法上の「愛護動物」には哺乳類だけでなく鳥類・爬虫類も含まれており、飼養規制の対象になっています。爬虫類についても飼い方の基準強化が近々話題に上る見込みです。
つまり、愛護動物として規制を強化する対象でありながら、災害時に認められるべき同行避難・同伴避難の権利は十分に確保されていない——ここに矛盾があると感じています。鳥類・爬虫類の飼い方に関する規制を厳しくするのであれば、それと引き換えに同行避難・同伴避難の権利も併せて確保していくべきではないでしょうか。
まとめ
キャットカフェ「モフ」の対応は、日頃の準備と訓練があってこそ実現した、プロとしての誇るべき成果でした。
同時に今回の一件は、動物取扱業と個人・団体の間にある批判の非対称性や、犬猫以外の愛護動物に対する同行避難体制の遅れなど、私たちが動物を預かる立場として向き合うべき課題も浮き彫りにしました。まずは自分たちの事業所でも、災害発生時にどう動くかを改めて見直しておきたいと思います。
次回は、この記事でも触れた「動物取扱業者と個人・団体の間にある規制の非対称性」について、さらに掘り下げて取り上げる予定です。





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