動物を信用しきってはいけない

動物自身や動物による事故は、信用しきって安心している際に起こります。

車の運転に慣れてきたころに交通事故を起こすのと同じです。

信頼関係を築くことは大切ですが、信頼しきってしまうことはおすすめしません。

この記事では3つの代表例を挙げてみます。

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外猫、野良猫

当院では基本的に野良猫や飼い主のいない猫を対象にしています。

野良猫、餌付けした猫を連れてきてもらうことがほとんどなので、キャリーケースか、洗濯のネットに入れてくださいとお願いします。

捕獲器を使う場合は「捕獲器ごとそのまま持ってきてください。」と話をさせてもらってます。

ここでよくよくあるのが、「結構慣れてるからもしくは慣れてきたから捕獲器いらないです。」なんてお話をされます。

そうおっしゃる方に対して、私が必ず確認するのは「抱っこしたことあるかどうか」です。
抱っこして落ち着いてますか?と。

それに対して「抱っこしたことはないけど、慣れています。」っていうのはよくある回答でして、
結論からいうとそれは信ぴょう性ゼロです。

手術当日の朝、初めて抱っこする、初めてのことを野良猫にやる。そこで落ち着いてる方が珍しいんですよね。

野良猫関係に携わっている人からすれば常識かもしれませんが、一般的には慣れてきたから大丈夫と考えてしまいます。

動物は裏切らないイメージがついてしまうんでしょうね。
懐いてくるとやっぱ可愛いし、捕獲器入れるとひどいみたいなイメージがあるので、捕獲器使わずに抱っこして入れていきますって言いたがる人います。

理由は3つあって、

  • ほぼ逃げられる
  • 逃げるときに暴れて人がけがをする
  • 信頼関係が崩れる

です。

これを理解してもらうために出す話があります。

何年も飼ってるよく懐いている室内猫ちゃんでも、「さあ、今日は病院に行こう。1 年に 1 回ワクチンだ」っていう時は逃げる子いますよね。

猫を飼ったことがある人はこれで納得してくれることが多いです。

ノーリード

SNSで定期的に燃えるノーリード散歩。私が経験した痛ましいケースを紹介します。

保健所勤務時代です。負傷犬がいると通報を受けて現場に向かうと、もうすでに瀕死状態の犬がいました。トラックにひかれてしまったようで、血まみれ。

結局この犬は助からなかったのですが、現場で話を聞いていると、実はそこに飼い主がいました。おじいちゃんでした。

精神崩壊してるような顔で、動揺して立ち尽くしていました。

飼い主が少し落ち着いてから話を聞くと実はいつもノーリードで散歩してたということがわかりました。そして、その日もノーリードで散歩をしていました。

犬は若くもなく、10歳くらいと言っていたと記憶しています。
だから何年もです。何年もノーリード散歩をしてたみたいなんですね。

ただ今日はなんか知らないけど、走ってっちゃって道路に出て。またまたまトラックに引かれてしまったと。

今までは大丈夫だったのにっていう言葉がやっぱ出ちゃってました。

今まで大丈夫だったことは、これからも大丈夫な保証にはならないんですよ。

やっぱり取り返しのことを取り返しのつかないことになってしまいました。

犬はもちろんかわいそう。おじいちゃんも動揺して。もうね。取り返しが少ないことしてしまったという反省もしているけど時すでに遅し。

ノーリードの典型的な事故ですが、やはりその時の犬の姿と、おじいちゃんの動揺っぷりは忘れられません。

正直いうと、そんな状況でノーリードという条例違反を厳しく指導する気にはなれなかったです。

人への危害

ノーリードで犬や屋外飼養猫自身が死んでしまうだけで収まらない場合もあります。

人に危害を加えてしまったり、その動物が原因で交通事故が起こってしまうこともなくなりません。

特に悲惨だと思うのは、子供です。
室内で、飼い犬に乳児が噛まれてしまう、最悪死んでしまったのような事故です。

犬にかまれ10カ月の乳児死亡 容疑の祖父母を書類送検

https://www.asahi.com/articles/ASM2M7TWMM2MUTIL05R.html

このような事故もやはり定期的に耳にします。

動物なのでなんか拍子にスイッチが入ってしまうことはあります。いくら信頼関係築いていて、しつけが入っている動物でも絶対に 0 にはならないということは忘れてはなりません。

繰り返される事故と忠告

Twitterで動物を信頼しきって故にあるリスクについて指摘が入ることは多いです。場合によっては炎上しています。

犬や猫を扱った経験が豊富な人ほどそういう経験をして、二度と起こって欲しくないという気持ちで、しつこく指摘します。

指摘されているような投稿を見かけると同じように心配になりますし、指摘に反論しているのを見ると、どうしてという気持ちにもなります。

そして事故は繰り返されていきます。

少なくとも、このブログを読んでくれた人やその周辺で、悲しい事故が起こらないことを願っています。

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