地域猫FAQ~ふなねこ地域猫セミナーを聞いて~

2023年8月20日に開催されたふなばし地域猫の会(通称ふなねこ)の地域猫セミナーに参加しました。

オンラインで1時間+質疑応答40分程度のセミナーでしたが、とてもまとまっていたのと、ふなねこさんにしか話せないような経験を聞くことができて大変有意義でした。

質問は事前受付のみだったのですが、本題の1時間ですでに質問の回答が含まれていることも多いと感じました。

セミナー内で印象に残った点をいくつか自分なりにまとめます。

音声はこちら

主体は地域住民

セミナーに参加されている方、中でも質問を投げていた方は実際に野良猫対策の経験がある方だったような気がします。

初心者ではない方にとって「地域猫活動の主体は地域住民」という文言は常識的に知っていると思います。

ただ、質問の内容を砕いてみると、実際はこの点を忘れているというか、自分の関与する(関与しようとしている)事例に落とし込めていないと感じました。

これは今回のセミナーに限った話ではありませんが、

「野良猫対策について、そこの住民や自治会を説得できなくて困る。どう説得したらいいか」

という質問。

これについて度々私が感じるのは、そこの住民はそんなにねこに困っていないのではないか?ということです。

主体はあくまで地域住民でなければならないのは、手術後長期間に及ぶ管理を住民がしなければならないという理由です。

が、これだけではありません。

そもそもその地域住民が困っていなければ、地域猫活動を始める理由はないのです。

主体はあくまで地域住民という言葉の裏には常に「その地域住民が野良猫に困っている」という大前提があります。

で、これはふなねこのセミナーでも一番最初に伝えてくれました。

なので、言い方が悪いかもしれませんがはっきり言うと、余所者がやりたくて地域猫をやるのは無理です。(ゲリラTNRにつながる)

その地域の住民だとしても、やりたがっている本人やその仲間数人は猫が気になる(猫が好き)という理由だけで地域猫はできません。地域に猫で困っている人が何人もいることが絶対条件です。

地域住民や自治会を説得できない理由は、あなたの説得の仕方が悪いわけでも、相手の頭が固いわけでもなく、地域猫活動を求められていない状況である可能性があるということです。

もし、説得できない壁にぶちあたった場合、この点を見直しましょう。

本当に困っている人の声があるなら、ちゃんとそのデータを記録して、猫に困っている住民の声をまとめた資料を持って説得にいきましょう。

手術以外の費用

地域猫活動を実施するにあたって手術以外にもお金はかかります。

ただ、行政の助成金等の対象はあくまで手術費用のみであることがほとんどです。

これについて、ふなねこの清水代表は

「手術以外にも費用がかかるのは当然。だけど公益性のある費用の使い方は手術のみ。エサ代等は猫のための費用なので、公益性は低い(そのため助成金は出ないのではないか)」

と回答していました。

確かに公益性で費用対効果の高いものといえば手術のみになってしまうという意見は理解できます。

ただ私個人的には、地域猫活動の肝は住民説明と住民主体、そして手術後の管理の徹底だと考えています。

本気の地域猫活動にはむしろそっちのほうがコストがかかります。

そういう意味では、本当に結果の出る地域猫活動を求める行政だからこそ、手術以外の活動も支援すべきだと考えています。お金だけではありませんけどね。

ただの助成金ですが、例えば地域猫活動を業者に委託すると仮定してみてください。

その業者が手術費用だけしか記載していない見積もりを出して来たら、ここは業務をしっかり遂行できなそうだから委託できないな!と捉えるはずです。

え?猫把握のための写真撮影、猫一覧表作成のための印刷代、周知のためのチラシ作成費、捕獲のためのエサ代、住民会議の開催費用、手術後のエサ、トイレ、見回り諸経費がないってどういうこと?!となりますよね。

そういう意味で、公益性が高いのは手術費のみということではないと思います。

しかし、現実問題、地域猫活動は業者に委託するものではありませんし、流用性の高い経費を助成することは難しいのだと思います。横領のリスクが高いので。

とはいえ私は、本気の地域猫活動のみ行政支援するとして、手術以外の経費を認める代わりに都度報告を細かく提出させるような行政が出て来るとおもしろいなと思っています。

(担当者業務量の問題で、これまた現実的でないですが…)

行政を育てる

セミナーの中で一番印象に残った言葉が「行政を育てる」です。

市町村の担当者は一般的に素人です。特に市町村の場合は動物に触ったこともないような方がその席に座ることもありますし、地域猫活動は都道府県が中心になって勧めているので、教科書とおり「住民の理解を得てください」と回答するのが限界、実行のためのアドバイスなどはもらえたらめっちゃラッキーというレベルが普通です。

そのため、ふなねこさんや近隣地域での実績等と、都道府県が作成しているパンフレット等を持参して、行政を育てるところから始めなければならないケースがまだまだあると思います。

行政の頭が固い!なにもわかっていない!と文句を言うのではなく、こちらが仕組みやメリットを教え、その地域で要望の声、需要があるというデータを揃えて示し、協働を促すことが大切です。

これは私自身も響きました。

まさに三者協働とは、ここからスタートするものですね。

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