耳カットの必要性

前回の記事では手術済みの猫についてお話をしました。

手術済みのというのは、野良猫として捕獲されて不妊去勢手術に連れてこられたものの、お腹の毛を刈ってみたら手術痕があって、手術してあるだろうと思われる猫のことです。

その中で、野良猫で、TNRなのに耳カットをしていない可能性ということに言及しました。

今日はなぜ耳カット(いわゆる、さくら耳)が必要なのかについて、改めて深堀りします。

なぜ必要なのかというか、していないとどういうことが想定されるかについてですね。

音声解説はこちら

耳カットとは

耳カットはだれが見ても、捕獲するまでもなく、初見でも手術済みかどうかわかる印です。

さくらの花びらのように見えることからさくら耳と呼ぶことが浸透しています。

猫を外に戻すということはあらゆる可能性を想定しなければなりません。

その起こり得る事象の中に、耳カットしてないと困ることがあります。ふたつの起こり得る事象を紹介します。

他人に捕獲される

まず想定すべき事象のひとつめとして、外猫を放っておけない人が捕獲して、手術に連れて行ってしまう可能性です。

これについては、前回書いたので今回は端折りますが、理解を深めたいひとはこちらの記事を復習しましょう。

これは捕獲して連れていく側も責任がありますので、注意してもらいたいと思います。

ちなみに、ゲリラTNRや手術だけが目的のTNRではこのリスクがあります。そういう意味でもゲリラTNR、ひいては無料手術の弊害にも関係しています。

このあたりも「無料手術の弊害」というタイトルの記事に書いていますので、詳しくはそちらを。(すみません、こちらは踏み込んだ記事なのでnoteです)

https://note.com/ysnc/n/nfc83d0c83ed6

管理者が管理できなくなった場合

想定すべき事象のふたつめは、管理している人になにかあった場合、耳カットがされていないと困ります。

なにかあったというのは、突然の入院や老人ホームなどへの入所、そして死亡などが想定されます。家からいなくならなくても、高齢者であれば認知症の進行もこのケースに該当します。

要は、管理者自身が手術した猫を把握していても、管理者だけが把握している状況である場合は、望ましい状態とは言えませんので、有事の際に備えて耳カットが必要になります。

管理者に何かあった場合、親族や、社会福祉従事者など、猫をあまり把握していない人がその猫たちをどうにかする必要に迫られます。

福祉関係者は直接なにかしてあげることは少ないですが、福祉関係者、親族が例えば保護団体に保護を依頼した場合、どの子が手術済みなのかわからないというのは非常に厄介です。

「何頭かは手術してあるって聞いてるのですが…」

というのはよくある状況です。でも、どの子が手術済みで、どの子が未手術かわからないなら、保護する場合は全頭チェックしなければなりません。

「全頭手術済みって聞いてます。」

ということもあるかもしれませんが、それ自体怪しいと感じるケースも少なくないですし、手術後、新たな猫が流入している可能性がある限り、全頭手術済みとは言い切れません。

管理者である手術依頼者の中には、「私しか見てない猫だから大丈夫、どの子がやったは把握しているから耳カットは必要ない」という方がいます。

しかし、あなたに何かあった場合、一瞬にして誰もわからない状況に変わってしまいます。

このようなことを想定して、耳カットはすべきなのです。

耳カットは後々必要になる

繰り返しますが、耳カットは誰が見てもわかるように考えぬかれた印です。

そして今説明したようなことを想定したものです。

つまり、手術時には不要に思えても、効力を発揮するのはもっと後です。

一時の「かわいそう」という感情で、耳カットを拒まないでください。

ちなみに、耳カットは痛いかと聞かれれば、痛いでしょうね。

でも、去勢や不妊手術のほうが痛いです。そして、痛いからこそ麻酔下でやるのです。

耳カットが可哀想ならぜひ、屋内で飼ってあげてください。

誰も耳を切りたくて耳カットをしているわけではありません。

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