犬猫を新たに迎えようとする際、子犬子猫でなく成犬成猫も選択肢に挙げて欲しい。
これは保護活動に関わっているからということを抜きにしても、成犬成猫には成犬成猫のメリットがあるからです。
特に初めて飼う方やしつけに自信のない方にとっては大きなアドバンテージになります。その理由を簡単に解説します。
成犬成猫をすすめるので、成犬成猫のメリットと、子犬子猫のデメリットだけ紹介しますw
成犬成猫のメリットの裏返しが、子犬子猫のデメリットになりますので、一緒に解説します。
成犬成猫のメリット
なんといっても成犬成猫は、ほぼすべてが判明していることがメリットです。
- 外貌
- 性格
- しつけ
- 持病と重症度
外貌
犬猫は成熟したらそこから大きく外貌が変化することはありません。
まず大きさですが、例えば日本犬MIXのような子犬はどれくらいの大きさになるか予想がしづらいです。10kgいくかな~?なんていいながら20kgになりましたみたいなことは稀ではありません。
ペットショップで販売しているミニチュアダックスフントも、3kgくらいと思って買ったのに7kgでしたみたいなケースも少なくありません。肥満ではなく、体格がもはやミニチュアじゃなかったねということです。
猫の場合、大きさがあまりにも予想外になることは犬に比べると少ないかもしれません。
しかし、毛色や毛の長さは予想外の成長をみせることがあります。
白猫とおもっていたのに、だんだんグレーの毛が増えて来て、1歳になったら立派なサバになりました!シャム風になりました!というケースも。
飼っていれば愛着が湧くので、外貌の変化は問題になることはほとんどありません。
ただ、長毛猫に関しては少し困ってしまうことも。
なんとなく長毛になりそうだね、半長毛くらいかな?とか予想していても、予想がはずれてめっちゃ長毛のダブルコート!!モフモフ!!になると、最低でも1日1回のブラッシングが必須です。
放っておくとすぐ毛玉になり、皮膚炎に発展してしまうことも。
毎日のブラッシングが大好きな飼い主ならOKですが、そうでなければ手間になります。
僕も長毛猫が好きなのですが、それができる気がしなくて飼うに至っていません。
性格
・人慣れ
・他の犬猫との相性
・掃除機や洗濯機の音への耐性
・好きな爪とぎの材質
・好きなトイレの形状
・トイレ砂の素材
・水入れの皿の素材、温度、流水じゃないと飲まない
・夜鳴き
・散歩の頻度や時間
などなどありとあらゆる性格がわかっているのが、成犬成猫です。
例えば、猫が好きな爪とぎやトイレの素材を探してあげる楽しみもありますが、探している間に部屋の壁紙はビリビリになり、お気に入りのソファは猫のトイレになっているかもしれません。
問題行動が全くない子、嫌いなものがない子が飼いやすいからそういう子を探そうというわけでなく、嫌いなものがわかっていれば、それを避ければOKなので、大きなアドバンテージです。
それを避けることができるかどうかを、自分に問い、できそうならその子はあなたと相性がいいかもしれません。
しつけ
子犬子猫を育てていく中で、直したい問題行動が出た場合、それを適切に修正することができますか?
しつけられる自信がない場合は、ある程度しつけの入った子を選ぶこともできる、それが成犬成猫です。
私もしつけには自信がないため、子犬子猫を飼うことは躊躇してしまいます。
どうにも直せない場合は、数十万円かけてトレーナーにお願いするほかありません。
そうでなくてもトレーナーにお願いすることはおすすめですが、それができるか、払えるかは考えておかなければなりません。
持病と重症度
子犬子猫のときは、まだ判明していない病気があるケースは少なくありません。
アレルギー、先天疾患、てんかんなど、2,3か月齢ではわからず1歳くらいで出てくる病気はあります。
成犬成猫では、加齢性のものでない持病がない子を選ぶこともできますし、持病があっても重症度がわかっていれば、こんなはずじゃなかったとなりにくいです。
闘病は、その子自身にとってはもちろん、飼い主にとっても辛い、金銭的にも厳しいものになることも十分にありえます。
例えば、成犬でアレルギーがあったとしても何のアレルギーかわかっていれば避けることができますし、もしそのアレルゲンと接触しても、少しお腹壊す程度だよ、少し皮膚がかゆくなるけどシャンプーと薬で十分コントロールできるよ、という重症度と対処法もわかっていれば、慌てることもないでしょう。
以前勤めていた病院で保護猫の譲渡をやっていたのですが、確か生後3か月くらいで譲渡し、数か月後に痙攣発作をはじめとした神経症状が出ました。
痙攣発作はある程度薬でコントロールできましたが、おとなしくしていても急に狂暴になり、なんでも本気で噛みつき暴れまわるような症状がありました。
飼い主さんの手は常に傷だらけでした。発作を止めようとすると毎回けがをしてしまうのです。
実は別の家庭に譲渡した兄弟猫も、同様の症状を発症しました。
勿論、譲渡するまでは健康状態良好、性格も子猫ならではのやんちゃ具合で全く問題なかったので譲渡した子たちです。
申し訳ない気持ちにもなりましたが、こればかりはいくら譲渡前に検査をして、観察をしていても避けられないです。
幸い、両家庭ともに治療に一生懸命で、発症後もとてもかわいがってくれているので安心しましたが、本当に大変な思いをしています。
これが初めて猫を飼う方だったらと考えると、やはり成犬成猫のメリットを感じざるを得ません。
トライアルが可能
保護団体や行政の愛護センターでは基本的にトライアルをやらせてもらえます。
当たり前ですが、子犬子猫を中心に販売しているペットショップではトライアルはできません。また、先日紹介したようなひどいショップもあるので、注意が必要です。
もちろんひどい保護団体もあります。なので、ペットショップ=悪ではなく、ペットショップにしろ、保護団体にしろ飼育するための相談によく乗ってくれる方を見つけて、そこから向かい入れましょう。
ただし、トライアルは最後の確認です。
トライアルに行く前に、その犬猫について保護団体の方からよく説明を聞き、飼育シミュレーションをしてください。
トライアルしてみて、ここが合わなかった、気に食わなかった等があったら次、また次と里親待ちの犬猫を試し歩くのではなくて、まずはその子を飼うことを想像しましょう。
最後に
どんな風に育ってもうちの子だから!というのはそりゃそうですけど、飼いやすいに越したことないですよね。
ひとりでもナイスなペットライフを送ることができる人が増えますように。
当院が信頼をおいている保護団体を紹介することも可能です。もし、ご希望ならご連絡を。
この記事へのコメントはありません。