このウイルスは我々がよく知っているパルボウイルスに比べて研究が少ないので、まだまだ確定的なことは言えないと思いますが、出ている情報をまとめたいと思います。
まだよくわからないじゃーんという気持ちもわかりますが、シェルターはもちろん、複数飼いしている人は特に知っておいて損はありません。
読み方
Chaphamaparvo virusなので、phaをファと読みそうになりますが、実はHamparvoウイルス亜科のChaphamaparvoウイルス属なので、「チャプハマ」でしょう。
現在までにカナダ、イタリア、トルコ、中国で発見されています。
日本ではまだこのウイルス研究について発表はないと思います。
急性胃腸炎の猫は健康な猫より保有率が高いという研究や、いわゆる猫風邪症状のある猫が高い保有率を示していると発表されています。
保護施設での集団発生
2018年にカナダのシェルターで発生したのが、このウイルスの初めての報告となります。我々も学ぶべきポイントがあるので紹介します。
3つの保護施設があって、猫のシェルター間移動によりこのチャハマパルボウイルスが拡大していったことです。
ー経緯ー
2018年11月15日シェルター1からシェルター2に猫が移動
11月24日にシェルター2でその猫が発症(下痢、嘔吐)
その後の調査でシェルター1に他にも感染猫がいたことが判明
発症前の11月20日 また別の猫がシェルター2から3へ移動し、発症。
シェルター3にも感染拡大。
ちなみに、3種のコアワクチンはシェルター入居時に接種していたようです。
ウイルスの特徴
ウイルスの特徴(推測含む)については以下のとおりです。
- 推定潜伏期間は24時間~5,7日
- 平均罹患期間5日
- 嘔吐→下痢(7日程度続く)
- 回復後再発はなし
- 既存のパルボウイルスワクチンの効果が期待できない
この例の感染は間接的、つまり媒介物、人、環境を介した感染であったといいます。
個人的な予想として、移動が発症のきっかけになったのではないかと思います。
移動した猫が発症してますし、シェルター1にいて移動しなかった猫は保有していたけど発症していないので。
カナダでは半分以上猫がこのウイルスを保有しているという別の研究結果もありますし、発症にはなにかしらのトリガーが必要になりそうです。
我々が気を付けること
こういったことが予測されますので、猫の移動は最低限にすべきですね。
シェルターという環境上、一般家庭に比べて多くのストレスがかかるのは避けられないし、仕方のないことかもしれません。
もしかしたら移動ストレスはチャプハマパルボウイルスの発症と関連しない可能性もあります。
だとしても、ストレス負荷は最低限にするに越したことはないですね。
猫風邪の発症トリガーになることは証明されていますし、チャプハマパルボウイルスは猫風邪発症猫で有意にウイルス保有率が高いことはわかったので。
また、環境や飼育器具の消毒、そして人の手洗い、消毒や導線の見直しはとても大切であることが、このウイルスを通じて改めて実感しました。
特殊な消毒が必要なわけではありません。少し厄介ではありますが、塩素系消毒薬による消毒、そしてなにより人の感染症対策意識が最重要です。
結局、感染症はいろいろあれど、基本的な対策を徹底するのが一番効果的です。
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