保健所の印象が悪いと発生する不利益

当院の発信を読み続けてくれている方にわざわざ読んでもらうような記事ではありませんが、一応まとめました。

前回の記事では、保護団体による保健所の負のイメージを植え付け続ける発信に言及しました。

保健所と協働関係にある組織がそのような発信をすること自体に憤りを覚えますが、それだけでなく、実際に不利益を被ります。

誰が?動物、保健所職員、そして間接的には一般住民にとっても不利益になると言っても過言ではありません。

不利益は主に3つあります。

  1. 指導・助言が聞いてもらえない
  2. 迷子動物の捜索の弊害
  3. 業務妨害

①指導・助言が聞いてもらえない

保健所職員が適正飼育の指導助言にいった際、「動物が嫌いな人たち」だと誤解された状態からスタートすることになります。もしくは、動物を殺処分するような人たちと認識された状態です。

この場合、飼い主に聞く耳を持ってもらえないです。

こちらの提供する助言を聞いてもらうには信頼してもらわなければなりませんが、信頼を得るのに相当の時間がかかります。

誤解を解いて、アドバイスが信用に足りるものと判断してもらって、初めて耳を傾けてもらえます。

信頼関係構築は技術が必要ですし、保健所職員の人間性にも大きく左右されてしまいます。ある程度属人的な仕事であることは仕方のないことですが、保健所に対する負のイメージが強い人を相手にするほど、高い技術力を求められる仕事になってしまいます。

しかし、飼い主の中で保健所や動物愛護センターにいいイメージを持ってくれていれば、そこから来た動物管理のプロの意見に耳を傾けます。

最初のハードルがぐっと低くなるのです。

保健所に負のイメージがあって指導助言に時間がかかるということは、それだけ税金を使うということでもあります。それでも助言を聞き入れてもらって、改善できればまだマシです。

多くの場合状況を変えることができず、保健所職員も対応に困り果て大きな負担がかかるとともに、どうせ解決できないという雰囲気、そして実際に何も変えることができない結果となってしまいます。

最悪の場合、飼い主にも正義があるので、初回は飼い主に暴力を振るわれたり脅迫されることもあります。

「殺処分しに来たのか!!来るな!!」と。

②迷子動物の捜索の弊害

迷子動物を保護した人が「警察や保健所に連絡すると連れていかれ処分される」などの誤った認識により、マイクロチップの読み取りや警察の管理する遺失物情報または保健所が管理する迷子情報との照合が遅れます。

逸走したとき、迷子動物を保護したとき、まずは保健所と警察に連絡を!というのは少しずつ広まっているかもしれません。

しかし、未だに保健所=悪、殺処分のイメージを持つ人は、警察と保健所に連絡しません。

これにより、実は保健所が保護していたり、逸走情報を持っていても、その情報につながらずに時間が経過してしまうことがあります。

飼い主及び逸走動物にとって大きな不利益になります。

③業務妨害

関係ない人からの保健所への苦情(どうせ殺してるんだろ等)は通常業務の妨害となります。

通常業務とは、収容動物の管理も含みます。

収容動物を適切に管理して譲渡につなげるために日々頑張っている職員を邪魔することになるのです。

故に、収容動物にとって不利益となります。

このあたりは、『◯月◯日に殺処分は嘘』という記事でも解説しています。読んでいただけるとより理解が深まると思います。

まとめ

今回は、保健所のイメージを貶めることで発生する不利益について解説しました。

もっと細かい不利益は他にもあるとおもいます。殺処分しているような保健所が実施する動物愛護教室って。とか、愛護フェスティバルって。とか。

保健所は本当に一昔前とは全然違います。ここまで改革できたのも、官民双方の努力あってこそです。

これからも、協働しながらよりよい動物福祉の担保を願います。

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