以前、多頭飼育届は無意味という記事を書いています。
この発言を少し訂正させていただきます。
というのも、犬猫それぞれで多頭飼育届け出制度が効いているケースを経験したからです。
多頭飼育届の意味
いきなり結論から申し上げます。
「多頭飼育の基準を満たす数になると、届出なければならない」という意識から、9頭で留まっている人がいるのです。
※多頭飼育届出は犬猫合わせて10頭以上の場合に必要としている自治体が多い
多頭飼育届の制度が住民に浸透したから起こったメリットです。
これにより多頭飼育崩壊のリスクを下げることに成功しています。
「あと数頭くらい保護できる」と保護主の基準で判断するのではなく、条例の数値基準で上限を決定する意味はとても大きいです。
犬の例
保護歴の長い犬の飼育者で、いまも9頭を管理していました。
しつけも学んだことがあるようで、とにかく手に負えない犬でも行動を治して里親につなげられるようでした。
そんな優秀な方なので、自分の管理できる数は把握していると思われるのですが…
現在はご自身が経済的に厳しい生活を送っていて、客観的にみると9頭も管理できない状況。
しかし、これ以上増えたら多頭飼育届が必要になってしまうことが、彼女のこれ以上の保護活動にストップをかけていました。
更に、保護依頼は未だあるようでしたが「多頭飼育届を出さなければならなくなるから」と、条例を断る理由に使っているようでした。
猫の例
庭に来ている猫の保護依頼でした。
数頭室内で飼育しており、更に保護したい猫がいるとのことでした。
しかし、多頭飼育届の条例をご存じだったため家で保護するのは合計9頭までとご自身で判断されました。
多頭飼育届出制度がなければ、上限なく保護してしまったかもしれません。それが将来多頭飼育崩壊につながった可能性もあります。
上限を自分で決めるのではなく、条例の数値で決めることは多頭飼育崩壊の予防策として大いに意味があると感じた次第です。
あまり意味がないことに変わりはない
ただ、以前記事にした意味のない理由が打ち消されたわけではありません。
今回紹介したどちらの方も、条例を知っており、それを守る意図があります。
このような方は多頭飼育崩壊を起こすリスクは低いかもしれません。そういう意味では、やはり本当に届け出て欲しい人が届け出てこない制度であることは否めないです。
モヤモヤ
実は猫のケースでモヤモヤが残ることになりました。
すでに猫を数頭飼っていて、新たに庭にきている保護したい猫を合わせると10頭以上になる状況でした。(確か6頭飼育していて、庭に5頭いる状況。頭数うろ覚えですみません)
しかし、3頭しか保護しないと決めたのです。
保護主のことを考えると正解かもしれませんが、残された猫のことを考えるとモヤモヤする判断となってしまいました。
まとめ
多頭飼育届出制度の有効性を実感しました。
モヤモヤは残ってしまいましたが、法令とは得てしてそういうものだと思います。
すべての事象を網羅して作られるものではないし、法令があることでメリットデメリットは必ず生じるものです。
ただ、やはり多頭飼育届は、本当に届け出て欲しい人ほど届け出ず、ちゃんと管理していて行政が目を光らせる必要がない人ほど届け出るという、ちぐはぐな運用実態は否めません。
なので、1年前の記事を「撤回」ではなく「訂正」という表現にしています。
それでも今回紹介した制度の有効性は、制度自体の存在が住民に浸透するほど頭角を現すため、自治体には更に周知徹底を図っていただきたいと思います。
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