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https://news.yahoo.co.jp/articles/3bf7127c6890ae7cd5e4adb1caf7bc4f795abf81
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001335.000004612.html
Amazon(所在地:東京都目黒区)は8月30日(月)、環境省による犬猫の譲渡拡大を推進するための新たなパートナーシッププロジェクト「つなぐ絆、つなぐ命」の最初の連携先として、環境省と第1号のパートナーシップを締結いたしました。本パートナーシップに基づき、Amazonは今後、環境省と連携して地方自治体や動物保護施設による譲渡活動を支援し、行き場を失った犬猫が新たな飼い主のもとに引き取られ、終生にわたり安心して暮らせる社会づくりの加速に向けて貢献してまいります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3bf7127c6890ae7cd5e4adb1caf7bc4f795abf81
プロジェクト概要
これまでもアマゾンは「動物保護施設 支援プログラム」(今回、 保護犬・保護猫支援プラグラム に変更)として保護施設や譲渡会情報の拡散を行っていましたし、保護団体側も欲しいものリストをアップして支援物資を募るツールとしてアマゾンを有効活用しています。今回、環境省と提携したことで、より信頼性の高い保護・譲渡活動ができるようになり、犬猫の里親になることが身近になるといったところでしょうか。保護犬猫の里親になりたいけど、どこに行けばいいかわからない、愛護センターは遠すぎるといった理由で里親になれていなかった人にとってはいいニュースですね。
具体的にはアマゾンが業務委託した第三者機関が審査した保護団体を「保護犬・保護猫支援プラグラム」に掲載します。里親希望の人は、このサイトで近くの保護団体を探すことができ、コンタクトが取れるようになります。気になるのは、この第三者機関とその審査基準ですね。保護団体はピンキリです。少なくとも審査基準は公開してほしいところです。
Amazon専属獣医師による無料相談もしてくれるそうです。「獣医師」と聞くと、病気について相談を受けてくれるいわば診察をイメージしてしまいます。そうではなく、里親になりたい人が譲渡に関する相談をできるようで、診察や病気に関する相談は受けないとのことです。町の獣医師に相談してもいいかもしれませんが、かかりつけの動物病院がない初めて犬猫を飼う人にとっては嬉しいサービスだと思います。町の獣医師も犬猫の譲渡に明るい人ばかりではないですし。(そもそも獣医師である必要はあるのか…?)という疑問はありますが。
本質はイギリス・ドイツをお手本にした施策
今回の提携は、自治体の人手不足でやりきれていない譲渡活動を官民協力で進めることができるものです。よくよく考えてみると、本質はみなさま(特に環境大臣夫人)憧れるイギリスやドイツのスタイルです。英独では、協力ではなく民間一任の地域が多く、保護されたり飼いきれなくなった犬猫は、自治体ではなく、直接保護団体に引き取られます。里親になりたい人は近くの保護団体に行きます。保護団体はその人が本当に犬猫を飼えるのかを審査し、譲渡します。(英独スタイルについてはそのうちブログで詳しく書きたいと思います。)
実は同時に、現状自治体がやるべき保護団体の監視・指導もアマゾン(の委託先)に委託することができる施策になりえます。劣悪な団体がホームページに掲載されていたら、アマゾンに苦情が行くからです。ただし、これが機能するかどうかは審査を委託されている業者とその審査基準次第です。場合によっては、アマゾンに委託された第三者機関と自治体の二重基準による二重監視で複雑化するか、はたまた両者ともに監視業務を譲り合ってしまい、結果的に全く監視の目が届いていなかったというオチになりかねません。今回の法改正で、日本の動物愛護管理法も数値基準を入れましたし、それを基準にするのは間違いありませんが、どこまで監視が行き届くようになるかは注目すべき点です。
懸案事項
英独スタイルと唯一異なる点は、アマゾンは営利企業であるということです(この施策が英独スタイルにならっていることに気づきにくい理由はこれかもしれません)。個人的には営利企業であることで懸案事項が2つあると思っています。
ひとつは、利益を出せない事業は継続できないこと。これはアマゾンレベルの企業では心配ないかもしれません。利益追求事業だけではなく、社会貢献事業を赤字でもやり続けてくれるでしょう。そういう契約で今回提携したはずですし。万が一アマゾンが倒産したら…そこまでは考える必要はないですかね。
もうひとつは、数値目標を設定することです。営利企業でなくても数値目標設定は大切ですが、大成功している企業は必ずといっていいほど数値にこだわります。実際、 保護犬・保護猫支援プラグラム における掲載保護施設数の目標を2024年までに500としています。数と質は反比例するのがこの世の鉄則です。Amazonというモンスター企業のことなので、掲載団体数はぎゅいんと伸ばすことでしょう。その陰で、劣悪団体からの譲渡が原因で保護譲渡団体に悪いイメージを持つ人が急増しないことを願います。
批判
小泉大臣「現在犬猫はペットショップで購入することが多いが、一般家庭では保護犬、保護猫の受け入れが当たり前の社会にしたい。環境省は、全国保護団体の支援と譲渡活動を拡大のため、活動の仲間を増やしていきたい」
Twitterなどでは小泉大臣の発言に対して批判的な意見も散見されました。「それよりも保護犬猫を減らす対策に取り組め」という意見が多かったと思います。保護犬猫の受け入れが当たり前の社会というのは、保護されてしまう犬猫が常にいる世界をイメージしてしまいます。このような批判がでるもの納得できます。
しかし、これは全く別の対策です。批判の意味はわかりますが、両方同時に必要です。今現在、救うべき命はあります。そのために頑張っている保護団体、自治体がいます。その応援をアマゾンがやってくれるのですから、それは心強いじゃありませんか!
「保護犬猫の受け入れも選択肢に挙がる人が増えてほしい」ならよかったかなと私は思います。
イギリス・ドイツのマネだけでは根本解決はできない
お気づきのように英独で保護・譲渡活動が充実しているのは、それだけ捨てられる動物がいるからです。特にドイツは陸続きだったり、EU加盟だったりで密輸にもかなり手を焼いているようです。NPO法人 人と動物の共生センターさんが作成した有名なポスターにあるような蛇口を閉める対策は動物問題根本解決への唯一の方法でしょう。小泉大臣(と夫人)には、この施策ひとつに集中することなく、必ず蛇口をしめる施策も同時進行で尽力してほしいですね。英独ではできないことをやらなければ解決は夢のまた夢ですね。
まとめ
- 犬猫の里親希望者は、譲渡施設へのアクセスがより簡単になり、ペットショップと同じくらい動物保護施設が身近になる
- プロジェクトの本質は、犬猫の保護・譲渡を民間が担っている英独に倣ったシステムの構築
- 民間の保護施設の運営がうまく回ることで、自治体が保護譲渡業務をやる必要がなくなる可能性
- 保護施設の監視・指導も、滅多なことがない限り自治体が出張る必要がなくなる可能性
- 失敗すると、劣悪保護施設を環境省が間接的に支援することになる
- この施策と同じ強度で蛇口を閉める対策が必須
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