不妊(避妊)去勢手術は猫の繁殖制限をするうえで欠かせません。猫にとっても人間にとってもメリットがあり、広く浸透している手術です。当院での手術に加えて、一般的な手術自体について解説します。

当院で手術実施が決まっている方は手術の流れををご一読ください。

手術のメリット

  • 繁殖防止
  • 繁殖期のストレス低下、鳴き声抑制
  • 特定の病気予防

猫はとても繁殖能力の高い動物です。外猫で未手術の場合、離乳後すぐ次の妊娠というサイクルを繰り返し、1回で4~5頭、年3回出産が可能です。それも生後半年から出産します。繁殖制限は可哀想という気持ちは理解できますが、そのような頻度で産ませることは猫にとって負担が大きく、もっと可哀想なことだと言えます。

手術は繁殖期のストレス低下にも繋がります。手術していない場合、繁殖期には様々な刺激があります。猫は神経質になり、室内飼育の猫は脱走したり、他の猫との接触で怪我にもつながります。また、オス猫のマーキング尿スプレーやストレス性の膀胱炎によりトイレの失敗の可能性もあります。

更に手術は特定の病気の予防にもつながります。特にメスの場合、1、2回発情前の早めの避妊手術は乳がんなど命に関わる病気の予防に大きな効果があります。

手術(当院の場合)

時期

  • 3か月齢または1.5kgから
  • 発情期、妊娠期間でも可能
  • 出産直後は控えるべき

基本的にオス、メス猫とも不妊去勢手術は生後3ヶ月頃、体重1.5kg程度から可能です。これに満たない月齢の子猫の手術も可能ですが、特段事情がない限りオススメしません。ご希望の場合はご相談ください。

出産した母猫は、産後2ヶ月程度経ってから避妊手術を実施することが望ましいです。出産直後の母猫は、子宮が脆く手術のリスクが上がること、授乳している場合はそれを妨げなければならないこと、次の出産まで最短でも3ヶ月近くあることが理由です。発情期や妊娠期間の手術は可能です。

麻酔前検査

麻酔のリスク評価のため、レントゲンや血液検査にて麻酔前検査を実施する病院は多いです。万が一心肺機能や腎臓、肝臓等に異常があった場合、麻酔事故のリスクが高いからです。しかし、当院ではこれらの検査を実施しません。理由は、対象とする猫のほとんどが若い猫であること(外猫の寿命は短い)、低価格の実現のためです。当然のことながら、麻酔前検査で麻酔リスクが高いと評価され手術中止や麻酔プロトコルの変更を強いられる多くが高齢猫です。低価格に抑える必要があるのは、当院は基本的に群管理の医療を提供しているからです。コスト(費用、時間、労力)をかけるべき猫、またはかけて欲しい場合は一般の動物病院に行くことをおすすめします。

当院では麻酔前検査は実施しません

術式

メスの避妊手術は、左右の卵巣と子宮を摘出します。日帰りです。猫が気にしても問題ないよう、外から見えないように、抜糸のいらない溶ける糸で縫います。オスの去勢手術も日帰りです。糸を使わず猫自身の組織で結紮します。これにより糸を体内に残さない手術が可能です。

メスでも傷は数センチで糸も見えません

手術後

手術後は可能な限り翌日までケージの中で大人しくしてもらいましょう。麻酔から完全にさめたようにみえても、意外と麻酔が残っていてフラついたり、興奮してしまうことで不慮の事故が起こる可能性があります。こう忠告してもなぜか家の中なら大丈夫と思って、ケージから出す人がいます。「いつもは大丈夫なのに」と言われることが多いですが、いつもの違う衝撃的なこと(連れていかれて手術)をやったのですから、猫がいつもと違う行動をとるのは当然です。お水や餌は獣医師の指示に従ってください。低血糖や誤嚥による肺炎等のリスクがあります。

猫によっては1~2日ほどジッとしていることもあります。外猫の場合、餌の時間に現れなかったり、いつもと違う様子のこともあります。手術後の痛みや捕獲され知らないところに連れていかれたショックが原因と思われます。そのショックは飼い猫より野良猫のほうが大きいため、通常に戻るのに1~2日かかることがあります

キャリーケースは狭いですが、狭い方がベターです

避妊、去勢手術後は、ホルモンバランスの変化により太りやすくなります。消費カロリーが3割減ると言われています。単純に考えると、餌も3割減らさなければどんどん肥満になるということです。肥満はリスクです。少しずつで構いませんので、餌の量を調整して体重管理に努めましょう。

抗生剤の使用

基本的に長期間効果が持続する抗生剤(コンベニア®)は使用しません。理由は以下のとおりです。

  • 清潔な手術後の抗生剤は必要ない
  • 抗生剤の乱用は耐性菌の視点から問題視されている
  • 長期間作用する抗生剤は特に慎重にすべき

当院の利用をお考えの方へ

当院の利用をオススメしない方

家族の一員として室内適正飼養をしている

これに当てはまる方は、当院の利用はオススメしません。一般的な動物病院の利用をオススメします。これから猫を飼っていくうえで、手術に限らず、定期的な健診、何かあればすぐに診てもらうようなことが必ず必要になります。当院は獣医師常駐ではないため、これらにお応えすることができません。そのため、近所にかかりつけを持つことが動物にとっても飼い主にとっても最善です。日頃から頼れる動物病院を見つけてください。

当院の利用をオススメする方

  • 保護譲渡活動をしている
  • 庭で生まれた野良猫の手術をしたい
  • 手術頭数が多い
  • 病院に連れて行く足がない
  • 猫が慣れていないため、捕獲ができない

当院は基本的に野良猫、保護猫、外猫の手術を想定しています。一般的な動物病院で何頭もの手術をしようとすると、何度も足を運ばなければならないうえに、高額になってしまいます。身体的、精神的、そして経済的に非現実的ではあることが多く、手詰まりになってしまうのではないでしょうか。当院は、低価格で不妊(避妊)・去勢手術を提供しています。手術後に再度診察で傷を確認することが難しいことを想定し、傷は可能な限り小さく、抜糸の必要ない糸で実施しています。

『安い』『日帰り』『一度に10頭以上』『送迎』いずれも可能です。想定していない多頭飼育の防止には少数のうちに手術することが大切ですので、勿論1頭のみでもご相談ください。

手術と同時に実施可能な項目

  • ノミ・マダニ、寄生虫予防
  • 混合ワクチン接種
  • 猫白血病・猫エイズ検査
  • その他ケガ治療、爪切りなど

詳しくは下記リンクからご覧ください。

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