2023年11月にこうが人福祉動物福祉協働会議を傍聴させていただきました。
そしてそのコアメンバーと対談もさせてもらいました。その様子はYouTubeにあげてあります。
こうが人福祉動物福祉協働会議は、環境省の多頭飼育対策ガイドライン内でも紹介されていたので、私自身存在は知っていました。
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0303a/03.pdf
しかし、どのようなものかピンと来ていませんでした。
そこで会議への参加をお願いしたところ、OKの返事をいただけたのでお邪魔してきました。
考え方を覆すとてもいいきっかけになったので、共有します。
「他者を責めず、少しずつ得意分野を持ち寄って協力する」
この絶対に揺るがないグランドルールが、この会議体の命です。参加者全員がこのグランドルールのもとに動いています。
5年も続けている会議の中でも、その後の対談でも、このグランドルールを愛護推進員が何度も口にしていたことが、徹底ぶりを象徴していたように思います。
ふたつのメッセージ
会議と対談を通じて強くメッセージ性を感じたことがふたつあります。それが
- 広がること
- 受入体制づくり
です。対談は打ちあわせも、事前質問もしていません。にも関わらず共通意識としてこのふたつのメッセージが各構成メンバーから感じました。
異動はメリット
普段、動物の保護活動等をやっていると、行政職員と協働する場面が多いです。
行政職員も人なので、とても協力的な職員さんと非協力的な職員さんがいて、動物愛護ボランティアさんたちは担当者の異動の度に一喜一憂していると思います。
しかし、この会議の構成員は「行政職員の異動はメリット」と言っていました。
異動した先でこの会議体の存在や、会議で得たものを広めてくれる。場合によってはまた関係部署に異動して会議に戻ってくる。そして違う部署で得た知識経験をまた会議で活かす。
こうなることで異動した職員個人としても、会議体としてもメリットであると。
行政職員に限らず、とにかく会議体の活動が広がることで大きなムーブメントになる。急ぐべからずというメッセージを感じました。
自分の質問が恥ずかしい
動物愛護活動中につまづくポイントを甲賀ではどうやってきたのかを聞くつもりででした。
活動をやっている方を代表してという意識で。
例えば、市が動いてくれない、保健所が全然使えない等、思ったことありますよね。
協働がうまくいっているこうがでは、
「愛護推進員はどうやって働きかけたんだろう?」
「市はどういうつもりでどこまで動いているのだろう?」
「福祉部門はどこまで連携してくれてるんだろう?」
というような質問を用意していました。
でも甲賀は全く逆のスタンスでした。
この人にこれをやって欲しいというのではなく、会議でこういうことやっていますと啓発し、それを知った人ができることを持ち寄って協働したくなるという形。
「一緒にやります?」と誘うことはあるにせよ、啓発をして待っている姿勢でした。当然議員にも協力要請はしていません。
「特定の人に求めるのではなく、できる範囲で力添えいただければ嬉しい。」
なので、獣医師会に声をかけているけど、獣医師にやって欲しい具体的なことは決まっていないのです。
あくまでできることは参加者側が提案する。
こういうある意味受け身体制にしている理由は、特定のことを特定の人に依頼する前提で参加を呼びかけると、その人に全部負担がいくからだそうです。
それでは行政の下請けを民間ボラや民間企業がやらないといけない構造(動物愛護界隈ではよくある構造)になってしまうということです。
こういうことまで考えていることが、長期継続できる会議体になっている理由かと思います。
いつでも受け入れられる体制づくり
急ぐべからず精神と併せて、いつでも受け入れられる体制づくりも感じました。
繰り返しになりますが、集まって来た人の手札を使わせてもらって人福祉動物福祉向上を目指しています。
そのための啓発を続け、いい雰囲気の会議を維持し続け、広がることを大切にしているのです。
会議を継続しているから広がるし、受け入れ体制もできやすい、協力者も増えていく、大きなムーブになるというこの一貫したプラス要素がこの会議の本質と感じました。
自主性の塊
こうが人福祉動物福祉協働会議は、事務局を設定していません。
それぞれの立場で集まり、参加者が自分の立場でできることを提案します。
どこが主催でやる会議というものを明確にしないことで主責任を負わせることがないようなスタンスでした。
逆にいえば、自主性のない人は集まってきません。
今は社会福祉協議会も、愛護推進員の田中さんも、愛護団体もLove&Peace Prayも、県の動物愛護センターも参加していますが、異動や変化で自主性のない人または組織となれば、参加頻度は落ちる可能性もあるとのことです。
これやって自主性のあるメンバーのみが参加する活発な会議体ができているのです。
ちなみに、明確に私はこれができます!という技術やビジョンがないと参加できないというわけではありません。自主性があれば参加してもらい、そのうちできることがあればやってもらうということです。
考え方をひっくり返す
官民多機関連携を願う私は、こうが人福祉動物福祉協働会議のスタンスに衝撃を受けました。
自分の中の考え方と真逆だったからです。
うまくいかないことも多い官民多機関連携。進め方、考え方から考え直さなくてはならないと強く感じた経験でした。
同じ協働へのもどかしさを感じている人の参考になればうれしいです。
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