生活保護とペット

先日Xでポストしたのですが、私の生活保護とペットの問題についての考え方も併せて詳細を記事にしたいと思います。

私が相談を受ける訪問先は、飼い主自身の支援が必要なケースが多いです。

飼い主の支援に行っている社会福祉従事者から相談を受けるので、当たり前なのですが。

とある市の生活保護の担当職員さんは、「生活保護と動物問題はほぼセットだよ」と言っていたくらい、両者は切っても切れない関係です。

まず、元になった宮城県参議院議員の石垣のりこ氏のポストを紹介します。

要は、ペット飼育を理由に生活保護の申請を却下してはならないというものです。

多くの勘違い

このポストで、いや、このポストに限らず問題をはき違えてしまう人が多いのが、

「金がないならペットは飼うな」という主張をここですることです。

この主張自体には私も賛成です。私は「お金に余裕がない人は動物飼育をすべきでない」と考えています。

しかし、すでに飼っているけどどうにもお金がない等の理由ですでに問題になっている今、なにができるか、どうすべきかの議論をしています。

お金のない人がすでにペットを飼っていたり、これまでは大丈夫だったのに何かしらの不幸でペットを飼う余裕がなくなってしまった結果、動物福祉の維持ができなくなったり、生活環境が悪化してしまうような問題がすでに発生してしまっている状況なのです。

今この状況で、金がないのにペットなんか飼うな!という主張は的を得ていません。

その主張を説くにはすでに手遅れですし、問題を解決できません。

今からでも手放せという主張なのでしょう。それはもちろん正解です。

でもそれができればとっくにやっています。それが難しいことも含めてこの問題への対応です。

ついでに、私は「終生飼養」に執着して無理に飼育を続けさせるようなこともしません。

手放せるなら手放すことを勧めます。里親を探そうと言います。時には最終手段ながら保健所引取りも提案することすら想定しています。

でもそれも難しいのが、生活保護等に関係する動物問題なのです。

ペットを理由に申請却下する職員

ペットを理由に生活保護の申請を却下することはできないのは明確ですが、

そのような文言でペットをどうにかさせようとする行政担当者がいるようです。一部ですよ、本当に一部だと思います

そう口にしてしまう気持ちはわかります。

でもそれは不適切な指導だと考えます。

そのような言われかたをした飼い主はペットを手放すでしょうか?問題は解決するのでしょうか?なかなかそうはならないですよね。

有効打にならないうえ、根拠のない指導で不適切なだけなので百害あって一利なしだと思います。

ではどのようにアプローチすべきか。これはかなり属人的な説得指導になるので、行政職員にそれを求めることはできません。

僕なら信頼関係を築いてから説得します。というかそれがまさに僕の仕事です。

生活保護を切られた先にあるもの

万が一、生活保護が切られた場合、いや生活保護に限らず社会福祉的支援が途絶えた場合について、考えてみましょう。

少し想像してください。

少し想像しただけでわかりますよね。

どんどん悪化するだけです。

生活環境の悪化、飼い主の孤立、社会への反発心、健康福祉低下、並行して起こる動物福祉低下。そして社会的支援の拒絶。

悪循環に陥り、問題解決は夢のまた夢に。

ペットは飼い主にとって家族かどうかは関係ない

生活保護受けているくらいなら飼いきれないから手放せという意見に、「いやでもペットは家族なので」という反論があります。

私は好きではありません。

繰り返しますが、私は余裕がないならペットは飼うべきでない派ですし、手放せるなら手放すべきだと考えています。

生活保護受給者というのは、税金つまり他人の金で生活をしています。

そのうえで法令上家族ではないペットも養ってくれというのは無理があると思います。

生活を保護される範囲にペットは含まれません。

なので「家族だから」は通用しないのです。それを理由にしてはいけないと思います。

それとこれとは別問題なのです。法令、制度とお気持ちは同一に語るべきではありません。

家族としてのペットは不要か

ただ、飼い主の健康福祉向上、QOL向上にペットは必要です。

ペットを飼っていないところにアニマルセラピー的に導入するという意味ではないです。これはまた別の話になってきますので、今回はそうではなく。

今までずっと世話をしていた犬や猫、はたまたウサギが、いきなりいなくなると飼い主のQOLはがくっと落ちます。

このあたりは以前YouTubeでも話してますし、ブログ記事にしてあります。

動物をゼロにすべきではないということです。

なので、私は管理できる範囲まで減らし、その数を可愛がってあげることがひとつのゴールだと思います。

その数は1かもしれないし、5かもしれません。

実際にはそのような飼い主が管理できる数は1もないかもしれません。

そこを埋めるのが支援です。「包括的」「重層的」支援なのです。

多くの目で見守り、最低限必要なものは最低限の負担でできるように支援をすること。これが地味で遠回りながら最大効果の期待できる支援だと信じています。

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