耳カット(さくら耳)とは

片耳の先をV字にカットすることで、カットされた耳が桜の花びらのように見えることから「さくら耳」、耳カットされている猫を「さくら猫」と呼ばれます。耳カットはその猫が不妊去勢手術済みであることを示しています。オスは右耳、メスは左耳をV字カットするのが通例です。TNR、つまり不妊去勢手術をしても元いた場所に戻す際、手術済みの証としてこのさくら耳にします。

左耳をカットしたメス猫

2022年はキティちゃんがACジャパンのCMでさくら耳を宣伝してくれています。

キティちゃんが広告塔になったACジャパンのCM

せっかくキティちゃんが広告塔になってくれたのですが、1点だけ細かいようで大きな注意点を。耳カット=地域猫ではありません。耳カット=不妊去勢手術済みでしかありません。ここを理解できていない人は、地域猫についての記事をご一読ください。耳カット=餌やりの免罪符でもありませんので、ご注をを。

メリット

耳カットのメリットは、野良猫や地域ねこ等外猫の不妊去勢手術をする際に、捕まえなくても手術済みの猫を把握できることです。万が一捕まってしまっても、耳がカットされていればそのままリリースでき、不要に連れていかれたり、麻酔をかけられずに済みます。周囲の人から見ても、手術済みであることがわかり、これ以上増えないという理解が進むこともメリットです。そのため、外にリリースする猫は手術と同時に耳カットをすることをオススメしています。耳カットは手術と同時に麻酔下で実施しますので、安心してください。

デメリット

猫自身のデメリットは特にないのですが、かわいそう、痛い、見かけ上好ましくないという意見もあります。手術後、屋内飼養予定だったり、屋内飼養が条件の里親募集予定の場合は耳カットの必要は全くありません。耳カットがかわいそうと言う方は、是非屋内飼養してください。そちらのほうが何倍も猫の幸せに貢献できます。

かわいそうという気持ちもわかりますが、それを理由に傷を小さくすることは最もやってはいけないことです。小さい傷はケンカ傷と迷うこととなり、混乱を招きます。最悪の場合、せっかく耳カットしたのにまた手術に連れていかれてしまうことになります。このような理由から、当院では不必要に小さいカットはお断りしています。

さくら猫を見かけたら

さくら猫は不妊去勢手術済みであることは先述したとおりです。それは誰かしらが少なからず管理をしていることを意味します。管理の程度はピンキリですが、最低限のエサや水は提供されているはずです。過剰なエサやりは衛生状態の悪化、他の野生動物の定着、近隣から新しい猫の流入などから好ましいものではありません。そのため、さくら猫を見かけても勝手にエサを与えたりせず、まずは見守ってあげましょう。

さくら耳は餌やりの免罪符ではありません

さくら猫のためにできること

見守るだけでなく、猫のために行動に移したい!と思う気持ちが芽生えたら、その場所に通いましょう。エサや水、排泄物の処理など、定期的に管理をしている人が必ずいます。地域ねこの場合、複数の人が当番制でやっていることも多いです。通うことで、なんとなく管理者がわかってくるはずです。声をかけたら当番を割り当ててもらえるかもしれません。

究極の愛護

あまり知られていないのですが、さくらねこはあなたが飼うことも可能です。定期的に餌がもらえるとしても、猫にとって外の生活は常にリスクが伴います。事故、ケガ、感染症、天候、ときには虐待されることもあるかもしれません。そんな外での生活を卒業させてあげることは、究極の愛護活動です。管理者も1頭でも多く室内で大切に飼われて幸せになって欲しいと思っているはずです。もし、その気になったらさくらねこの管理者に相談してみましょう!

先端カットのすすめ

海外ではV字カットではなく、先端をまっすぐ横にカットする地域も多いようです。ケンカ傷と間違わないようにするためです。たしかに、さくらねこかと思っていたらケンカ傷で、手術していない猫だったという事例は少なからずありますよね。国内でも、南河内ねこの会さんが先端カットをやっています。

南河内ねこの会

当院もできればこちらを勧めたいのですが、さくら耳の知名度には敵わないですね。さくら耳は知っているが、先端カットは知らない人が誤って先端カット猫を再捕獲してしまっては、猫がかわいそうな思いをしますからね。ぐぬぬ

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