僕は保護譲渡活動にしっかり費用を払えるようになりたいと考えています。
保護譲渡活動は、本当に大変で、時間も、金も、労力もかかる活動です。精神的にも強くないとできません。
そんな意味のある活動に「保護譲渡委託費」としてお金を払いたいのです。(まずは僕の運営自体が安定しなければ無理なのですが)
お金を支払うべき、価値のある、対価をもらうべき活動だと思うから。
しかし、ここにすでに法改正による規制強化の影響があります。
第一種動物取扱業でなければならない
保護譲渡に対して費用を支払ってしまうと、その保護活動は営利となりえます。
つまり、第一種動物取扱業と判断される可能性があります。可能性というかほぼ確定で、第一種と言われるでしょう。
そもそも保護譲渡を営利でやることが想定されていないので、第一種の業種に「譲り渡し」は挙げられていません。
既存の業種でいえば、保管業か譲受飼養業に該当すると判断されるでしょう。動物によっては譲渡できないことも想定すると、保管業が近いかな?
このあたりの解釈は国まで疑義をあげる必要が出てくるとおもいますが、そこは大して重要ではありません。
重要なのは、第一種に該当することで、そうなると責任者を設置しなければなりませんし、その他更なる規制もかかります。
つまり、第一種登録するというかなり厳しいハードルを越えなければなりません。しかも当院ではなく、保護団体が。
しかし、規制強化によりそのハードルは高く、第二種でやっている団体が第一種もできるようにすることは現実的ではないです。
これは以前の記事で解説したとおりです。
動物の愛護管理のために保護譲渡を頑張ってくれている方に、その報酬をきっちりお支払いし、安定した活動継続により更に動物の愛護管理に貢献し続けて欲しいにも関わらず、それを動物愛護管理法に止められるというわけです。
寄付すればいい
その分、寄付という形にすればいいのです。たしかにその通り。
しかし寄付ではよろしくないと私が思う理由が3つあります。
先に言っておきます。特に後の2つは説得力のない理由ですが、興味があれば読み進めてください。
正々堂々とお金を取って欲しい
第二種で活動している人の中には、譲渡時、譲渡金に加えて寄付金をお願いしている人がいます。
譲渡金はその動物にかかった費用だけしか請求できないのですが(これが非営利の範囲とされるため)、それでは赤字なのでお気持ち上乗せの寄付金をお願いするということです。
例えば、猫1頭に医療費が3万円かかったとしたら、おおよそ3万円が譲渡金額となります。ですが譲渡が決まった里親に対して、これを機に譲渡金とは別に更に寄付をいただけませんか?とお願いするのです。
あくまで第二種の範囲で違法とならないように、「譲渡金には実際にかかった経費だけ計上されています」「譲渡時に寄付もお願いしています」という主張で、実際かかった費用以上に払っていただくという形です。(実際の経費以上にいただくことは稀ですが、第二種であるがゆえに正々堂々と「値段」をつけることができない)
これが悪いといっているわけではありません。もっと正々堂々としっかりお金を取る方法にしたいのです。
ですが、それを動物愛護管理法はすでに、図らずに規制している形になっています。
寄付で成り立っている組織が寄付をする違和感
業界全体として保護を受諾する際はお金をいただくのが「普通」になって欲しいという願いを込めているため、今までと同じ「寄付」から脱却したいのです。
当院は、現在社団法人化を検討していますが、活動資金の一部を寄付等に頼りたいというのが本音です。
寄付をいただく団体が、他団体に寄付するのもちょっとおかしな話になってしまいます。
寄付を経費にできない
業務の一部を外部委託し、その委託費用を経費として活動資金から出すなら違和感はありません。
「保護譲渡の外部委託費」のほうが、実情に近い会計処理です。
ですが、保護譲渡を任せたい保護団体のほとんどが認定NPOでもなければ公益社団法人でもありません。何がいいたいかというと、経費として認められないのです。
実態は保護譲渡を委託して発生した費用であるにも関わらず。結果、自分の財布から寄付をすることになってしまい、寄付ではダメな3つの理由をぐるぐる回ることになります。
第一種でやればいい
これまたその通りです。
ですが、責任者要件を鑑みると、通学と業務経験が必須です。別の仕事を持ちながら頑張る保護活動者には到底無理な話です。
ということで、個人で隙間時間を作って頑張っている人には現実味がありません。
繰り返しますが、今保護譲渡活動を頑張っている人が第一種に登録することは現実的ではありません。
まとめ
寄付に頼り、キャパぎりぎりでなんとかやっている保護団体をもっと安定して運営できるようになって欲しいと常々願っています。
しかし、今回説明したとおり、委託費用を払う方法は厳しいのかもしれません。
保護団体も第一種同様の規制のもとやるべきと言われればそのとおりですね。私もそうであるべきだとは思います。
しかしこれ以上規制が厳しくなると、本当にがっつり利益を出さなければ運営できない制度になりえます。
とにかく多くの動物を保護して譲渡する時代はもう終わりなのかもしれませんね。
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