本気で挑む野良猫対策~TNR編~①猫対策すべき理由

数年前に「本気で挑む地域猫」について発信しました。
あの内容は今でも通用する内容だと自負していますので、地域猫活動に関心のある方はぜひ再確認してみてください。

さて、その時にもお伝えしましたが、地域猫活動は非常に難易度が高く、すべての地域に向いているわけではありません。
多くの場合、地域全体での合意形成が難しいため、現実的な猫対策としてはTNRが主流となります。

今回は「本気で挑む野良猫対策」と題して、効果が出る本気のTNRとは何かを解説します。

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「TNRの手順だけ知りたい」という方も多いと思いますが、その前に、なぜ猫対策・TNRが必要なのかをきちんと理解してください。ここがあやふやだと、どんなに頑張ってもTNRはうまくいきません。今回はこの点を解説します。手順は次回です。

「猫が好きだから」「かわいそうだから」といった気持ちも大切ですが、TNRは趣味ではなく、問題解決のための手段です。

猫による被害を減らし、猫の命を守り、人の生活を守るために行うのが本来のTNRの目的です。
その目的に共感してくださる方に向けて、当院は活動し、こうして発信しています。

本記事によって、自分がTNRしたいだけのただの猫好きだった気づき、本気の猫対策に切り替えてくれる方がひとりでも出てくれたら光栄です。
普段から私の発信を受け取ってくださっている方にとって、今回の内容はわかりきったものだと思います。
それであれば、ぜひ野良猫のことをやりたいと思っている方に、この記事を共有していただければもっと嬉しいです。

前置きが長くなりましたが、それではいきましょう。

なぜ野良猫対策をすべきなのか


結論からいうと「外猫問題の解決のため」です。決して猫を可愛がるためではありません。そこを勘違いしないようにしてください。
可愛がるためではないので、TNRはエサやりの免罪符にはなりません。

外猫問題とは

外猫による問題は多岐にわたります。

人への被害:

  • 糞尿、傷、鳴き声などによる生活被害
  • 感染症リスク(SFTSなど致死的な病気)
  • 交通事故(飛び出し事故)

猫自身の被害:

  • ロードキル(交通事故死)
  • 過剰繁殖による栄養失調、病気、衰弱

環境への影響:

野生動物への攻撃による生態系への悪影響(沖縄などに限らず全国規模)

つまり、外猫問題の解決は「人」「猫」「自然」すべてに関わること
これは今注目されている「ワンヘルス(人・動物・環境の一体的な健康)」の考え方にも通じます。

ただ猫が可愛い。そこから始まっても勿論いいです。
というかそこから始まるものだと思います。
やるならせっかくなので、猫を守るだけでなく、人にも地球にも優しい活動に昇華できるということを知って欲しいです。そこまでやれれば、迷惑猫好きおばさんに堕ちません。

殺処分される猫はどこから来るのか

全国の保健所に収容される猫の大半は、所有者不明の子猫です。
千葉県のデータを見ても、**収容された猫の約75%が「負傷猫」または「飼い主不明の子猫」**です。

この数字をとある人に見せてみたところ、こんな意見がもらえました。
【この結果は、地域における「野良猫問題」や「繁殖管理の不徹底」が以前として大きな課題であることを示しています。】

そのとおりだと思います。
この回答をしたのは、チャットGPTです。

補足ですが、殺処分を減らしたい!と訴えながらブリーダー規制を訴えている人がいますが、全く別問題であることをチャットGPTですら認識しています。そんな訴えをしている人は的外れと言わざるを得ません。

地域猫とTNR

野良猫、外猫問題を対策すべき理由について理解していただいたところで、次に地域猫とTNRについて解説します。

地域猫とTNRは、猫だけ特別に許された方法だということを絶対に忘れてはなりません。

犬がその辺を放浪していたらすぐに捕獲収容対象です。
野生動物であっても有害鳥獣とされた場合、駆除対象になります。
外猫問題を起こしている野良猫は、十分に有害鳥獣となりえる条件を満たしていると言えます。

それでも猫にだけTNRが許されているのは、「愛護」の名のもとに成り立っているに過ぎません。だからこそ、謙虚に、きっちりと実行しなければいけません。

まとめ

猫が置かれた状況を正しく理解することがまずは野良猫に関わる第一歩です。

次回はいよいよTNRの手順を解説します。

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