「最近は保護の相談ばかりでねぇ。地域猫の相談はめっきり減ったよ」
とある地域猫活動を得意とする団体の代表の方が、野村監督ばりにボヤいてました。
さて、自分たちの役目が少なくなってきた場合、どうすべきでしょうか?
今回は、外猫の対応を例に、時代へのアジャストについて記事にしてみました。
時代にアジャストしていかないと、イタイ活動になりかねませんよ~
音声解説はこちら
保護の相談が多くなったのは、テレビなどの影響かもしれませんね。動物好きな方々がテレビを見て、すばらしき保護活動を私もしたい!と想い、行動に移してくれているのだと思います。
私自身、保護が優先的にあって、それが叶わないから致し方なくTNRという順で考えています。
しかし、ボヤいていたのは地域猫活動を主軸としてきた団体さんなので、「保護したいんです」と相談されると困惑(?)してしまうようでした。包み隠さず言うと、得意分野である地域猫の相談がなくなって淋しいという表現が正しいのかもしれません。
勘違いしてほしくないので一応言っておきますが、保護もTNRどちらも良し悪しではないし、ケースによって正解は異なるものです。
実際、多くの地域はまだまだ保護なんて到底しきれない数の猫がいます。そのような地域では地域猫活動やTNRを進めるべきです。
一方で、外猫がだいぶ減ってきている地域では、まずは保護を考え、それが無理なら致し方なくTNRという順序になると思います。
というか猫が多い地域でも、保護が優先的に考えられたけど、到底無理ということがわかったからTNRをバンバンやっているだけであって、当初から保護しないと決めているわけではないと思いますけどね。
ボヤいていた団体さんは、地域猫活動団体としてかなり活躍してた団体さんです。
その成果が出て、TNRをバンバン進めなければならない状況から脱することができたのでしょう。つまり外猫を減らすことに成功し、目的を達成したのです。
とてもすばらしいです。
役割を終えた組織の転換
さて、ここからが本題です。この団体さんはこの先どうするか?3つに分かれると思います。
1.地域猫活動団体として、これまで同様の活動を推し進める
2.お役目御免で解散する
3.保護団体に転換して、さらなる外猫減少に邁進する
変わらないというリスク
1は結構危険な香りがします。
活動は縮小しつつも、たまにある相談に乗って地域貢献していただくことは勿論ありがたいです。
それでいてくれると大変助かります。
ただ、問題が発生しやすいと私は考えています。
自分たちの活動が社会に求められていないと感じてしまい、承認欲求が満たされないからなのか、あらぬ方向に行く可能性があります。
寄付は減って資金繰りも苦しくなるでしょうし、団体メンバーや活動をつうじてできたつながりも希薄になります。
結果、保護じゃなくてまずはTNRをやろう!とか言い始めてしまったり、過去の実績をひきずって昔のやり方を推し進めたり。
辞め時は難しい
2は法人化していると結構大変みたいです。解散の大変さも、1の「無理して継続」を多くの団体が選択しがちな要因となっているかもしれません。
しかし、ボヤいていた当の本人はそこの準備はしていたようです。
法人の財産をどう分割処理して、そのあと私は何やろうかな~なんて考えているとのことでした。
それはそれで立派な判断だと思います。見苦しい組織になってまで、自分のやりたいことを続けてしまうくらいなら、解散でいいと思います。
時代へアジャスト
私は3を選択してほしいと思っています。
地域猫活動と保護活動は異なるものですが、いうても猫のことなので、基礎知識や基盤は持っています。
そのベースにある猫の知識経験や行政、地域とのつながりを生かして活動内容を転換していただきたいと思います。
でないと勿体ない。
保護団体になれというわけではありません。
保護したいという人にアドバイス、アシストしてくれるだけでもありがたい存在です。
地域猫もそうじゃないですか。地域猫活動の団体が主体となって活動するわけではありませんよね。
保護も、団体で保護するだけが選択肢ではありません。
自分たちで保護して幸せになる猫が多くいるほうが、確かに達成感は味わいやすいし、画になるし、寄付も集まるかもしれません。
でも、一般住民による動物保護をよりよりものに底上げしてくれる存在は、これからかなり重要になると思います。だから、ぼやいていた代表も、そうなって欲しいと願っています。
保護する団体が輝き続ける未来は僕は望んでいません。よく言われる保護すべき動物が居続けることになるから!ということではなく、保護団体に投げればオッケーというのを根付かせたくないからです。そこから脱却したいのです。
最後に
繰り返します。
保護団体がよくて、地域猫団体が時代遅れと言っているわけではありません。
猫のことに限らず、時代の転換期に自分がどうアジャストできるか?ということを伝えたくて今回はこの話をしました。
民間企業もそうですよね。トヨタはぼうせき業から自動車産業に転換したのは有名ですが、転換できなければ生き残れない。
愛護団体は営利企業でない分、生き残ってしまいがちです。生き残っていた結果、変な方向に進み業界に悪影響を及ぼしかねません。
もう少し未来の話をすると、保護動物が極端に減ったとき、立派なシェルターを持っている団体はどうするのでしょうか?うまく転換するのか?過剰で時代にそぐわない保護団体になってしまうのか?
何年かかるかわかりませんが、その時はまた保護団体の存在価値が試されるかもしれません。
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