『保健所からのレスキュー』
この言葉から一般的にイメージするのは、
「殺処分する悪い場所である保健所から助け出す」
だと思います。
今回はすごい細かい話だけど、大きな影響力をもつ団体ほど拘って欲しい点でもあります。
単刀直入にいうと、こういう言葉を使う団体の目的は「自分たちが素晴らしいことをやっているという印象を与えること」にあると私は思っています。
寄付ベースで成り立っている組織が、活動をアピールすることは必要です。なので、この目的を果たすための発信は否定しません。
だけど、冒頭の表現では、保健所に負のイメージを植え付け続けることになります。それは解せぬ。
保健所の変革
ほとんどの保健所や愛護センターは意識改革があり、一昔前のイメージどおりの殺処分施設から卒業しています。
にも関わらず、そのような表現は不適切であります。
もちろんひどい保健所もまだあると思います。そういうところからまさに助け出すような例はあると思います。
ただ、今回記事にしたきっかけとなった団体は、ガバメントクラウドファンディングを利用している団体です。つまり行政と持ちつ持たれつの関係にある団体です。にも関わらずそのような保健所の負のイメージを発信していくことは適切だと思いません。
元ネタがわからない人は、私のXか、前回、前々回の記事をご一読ください。
当該保健所が未だに殺処分施設の色が強いのか、新しい動物福祉施設になっているのか、内情はわかりません。
ただ、ガバメントクラウドファンディングを実施して愛護団体と「協働連携」するような自治体なので、古い考えではなくどんどん良くしようと動いている自治体であることは確かです。
そんな自治体、かつ「協働連携」している保健所を、まるで悪い施設のようなイメージにするのはどうなのでしょうか。
『保健所の相談案件』でよくないですか?
全か無かではない
こういう話をすると、本当に保健所からレスキューした例もあります!とかいう人いるのですが、全か無かの話ではないんですよ。実際にXのリプが来てました。1人だけですけどね。
その方が例にあげたものはどんなのかというと、
①保健所は医療機関としては不十分なので、団体に治療を期待して引き渡すケース
②状態悪く、実質看取りのために団体に引き渡すケース
①それはあるケースですし、まさに協働です。しいていうなら、保健所『の』レスキューとも言えるかもしれません。協働なので、保健所をレスキューするという一方通行でもないのですが、せめて保健所の足りない部分をレスキューしたという表現が好ましいと思います。
②それは保健所としてやってはいけないと思います。治る見込みのない動物はすみやかに安楽殺してあげることが、動物福祉の尊重です。
保健所が把握した案件、取り組んでる案件、引き取った動物をどうにかするために団体と連携して、民間にできることをお願いしているケースは多いと思います。これから増えていくとも思います。
それは「保健所の相談案件」とか「保健所協働案件」とか、シンプルに「保健所案件」って呼べばよくないですか?
それをわざわざ自分たちを引き立たせるために保健所に負のイメージを持たせるような発信をすることが、解せぬってことです。
保健所改革の邪魔
こういう団体が、保健所のイメージ改革の足を引っ張っている可能性もあるなとか考えてしまいました。
保健所に負のイメージを連想させる発信をし続けているわけですから。
では、保健所が負のイメージを持たれていると何がよくないのでしょうか?
保健所は嫌われ役でもいい?そんなことはありません。
まだ殺処分は行われていますし、まだ殺処分が必要な状況です。負のイメージを完全に取っ払えるとは思っていません。
ですが、実態はいい方向に変わってきていますし、イメージも追随しなければならない理由があります。
次回はそれを解説します。
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