馴らす前に捕獲すべき理由5選

ネコを保護しようと考えてくれる人は増えました。

TVなどの影響もあるかもしれませんし、野良猫の大変さ、悲惨な現状が世間に浸透してくれた結果かもしれません。

大変喜ばしいことです。

保護して飼うのはもちろん、保護して譲渡することもとても大変なことなので頭が下がります。

保護自体を迷っている方や、保護は決めたけど何をすべきか確認したいという方は当院作成のフローチャートをご確認ください。

当院は保護にトライする人からよく相談を受けますし、保護にトライする人を応援しています。

よくある最初の相談として

「数か月前から家に来るようになった。だいぶ馴れてきたから捕まえたら手術をして欲しい。」

という内容が多いです。

数か月もかけて徐々に人馴れさせてきたことは素晴らしいです。捕獲器を使うのはかわいそうという気持ちもあると思います。

ただ、申し訳ありませんが、今すぐ捕獲器を使って捕獲したほうがいいです。

このように相談される方の考える保護までの順序は

  1. 餌付けをして馴らす
  2. 馴れてきたら保護して家の中へ入れる
  3. 予定を合わせて初期医療と不妊去勢手術をする

だと思いますが、順序が逆です。猫の保護の順序は、

  1. 捕獲器を使用してまず捕獲
  2. そのまま不妊去勢手術と初期医療にかける
  3. 術後3段ケージに入れる
  4. ケージ内で飼育して馴らす

です。馴らすのは最後です。

今回は馴らすより先に捕獲すべき理由について説明します。

音声解説はこちら

明日いなくなる

ご存じの通り野良の世界は危険がいっぱいです。

明日、他の猫や動物と喧嘩して大けがをするかもしれません。

明日、車にひかれるかもしれません。

明日、心無い方から虐待を受けるかもしれません。

明日、農薬を口にしてしまうかもしれません。

明日からもう来なくなるかもしれないのです。

保護しようと思っていた猫が来なくなったということは、もうその命が尽きたかもしれないのです。

そうなってから後悔しても遅いです。明日も無事である保証はどこにもありません。

今すぐ保護してあげたほうがよくないですか?

捕獲できない

馴れてきたら捕まえることができるという考えは、正直いうと甘いです。

いくら触れるようになっとしても24時間何か月も一緒に過ごしたわけではありません。猫からしてみれば、エサをくれる無害な人と認識していたのに、捕まえようとする危険な人と認識する可能性も十分あります。

というか何年も一緒に過ごしている室内飼い猫でさえ、抱っこは嫌いだったり、キャリーケースに入れられるのは嫌で抵抗することも少なくありません。

同じことをたかが数か月の関係の野良猫でできると思わないほうがいいです。

実際、「馴れてきたから手で捕獲して手術に連れていきます」と言って予約をする人のほとんどが捕獲に失敗します。

捕獲の際、爪と口で攻撃されて腕を30針縫うけがをした方もいました。

野良猫を甘くみないほうがいいです。

家の中で暴れる

保護には成功したとします。

しかし、その後、どのように管理して、手術に連れていく時はどうやって連れていくかを想像してください。

手づかみではなく、家の中に誘導したりして保護できたとしても、そのまま家の中で自由にさせてしまうと家庭内野良猫になります。

一般的にイメージする家猫のように、人慣れし、エサをきれいに食べ、用意した寝床で寝て、用意した爪とぎでのみ爪をとぎ、用意したトイレでのみ用を足すと思いますか?

そう、うまくいくことではありません。

馴らしていたあなたの前には出てくるかもしれませんが(それも怪しい)、同居の家族や訪問者、聞きなれない生活音などに驚いて、どこかに身を潜めっぱなしになる可能性もあります。

独居で静かな生活であっても、そもそも室内に入れられた猫は生活環境がガラリと変わっています。猫は生活環境の変化にかなりストレスを感じる生き物です。

これまでの人馴れがリセットされてしまったと感じるほど緊張状態になります。

最悪の場合、家のなかでパニックになり、家の中は悲惨な状態になります。

未手術なので、当然オスならそこら中にスプレーをします。

病院(手術)に連れていけない

ということで保護できた場合、室内生活に馴らすためにしばらくはケージ内で飼う必要があります。

ケージ生活期間は猫にもよりますが、最短でも1か月はかかると思っておいたほうが無難です。

保護したら病院に連れていって、ワクチンや虫下しなどの初期医療や去勢手術しようと考えているかもしれませんが、よく考えてみてください。

2段、3段ケージの中にいる猫をキャリーケースに移し替えることができますか?

攻撃的でなかったとしても逃げ回る猫をキャリーに入れるのは結構大変です。

入れようとしている間に、ケージから脱走します。

家庭内野良猫になってしまったら、捕獲は不可能に近いです。結局家の中で捕獲器をかけることになります。

妊娠判明してから慌てて手術はできない

「なんだか最近おなかが大きくなって来て…もしかしたら妊娠しているかもしれない。だから早く避妊手術がしたい」

こういう依頼も少なくありません。

しかし、当院含め、動物病院は不妊去勢手術を緊急で受けてくれるところはほぼありません。ほぼ100%予約制です。

飛び込みOKだとしても開院日が決められていると、その開院日を逃すとまだ先になってしまいます。

外見で妊娠が明らかになるのは、もうすぐ生まれる時期になってからです。

猫の妊娠期間は約2か月ですが、妊娠を疑うほどお腹が大きくなるのは妊娠から1.5か月程度からです。

要は、お腹の大きさで妊娠に気づいてから出産までは2週間程度しかありません。

その間に手術をしてくれる動物病院を探せますか?探せたとして、手術当日もしくは手術日までに捕まえられますか?

捕まえるのが難しいのは、先述したとおりです。

妊娠後期に手術ができないというわけではありません。

堕胎手術はできますが、それこそ可哀想ではありませんか?

まとめ

馴らすより先に捕獲をすべき理由はご理解いただけましたか?

野良猫を保護しようとしてくれるのはとてもうれしいです。ただ、保護はとても大変です。

野良で過ごしてきた猫をあまく見ないほうがいいです。

原則、今回示した順序にならって保護する方が結果的に猫にとっても人にとってもストレスが少ないので、参考にしていただければと思います。

当院は猫を保護する方を応援しています。当院にかかる方であれば、お気軽にまずはご相談を。

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